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物語 2024.04.18

『支配』全21話 ―第1話― 「懐刀」

こんにちは。農家著述家の山下弘幸(やましたひろゆき)です。

本業は農業。現在は農業コンサルタントとして全国の農業者のサポートを行っています。

また、農業講演家として講演、講座、研修、セミナーなど全国各地に呼んでいただいています。

日頃は、全国農業者のオンライコミュニティ農ビジ会や農業ビジネススクール運営

youtube(農テラスチャンネル)などで農業経営・農業ビジネスの最新情報をお届けしています。

 

さて、今回の山下弘幸の書下ろしストーリーは

『支配』全21話 1 「懐刀」

主人公は生まれも育ちも仕事も農家の「カワカミトシロウ37歳」

家業の農業を離れひょんなことから企業に入社する。

だが、そこで待ち受けていたのはこれまで経験したことがない試練の連続だった

『支配』全21話 1 「懐刀」

この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 

「カワカミ君、外の風は気持ちいいよ」

社長は自社ビルの窓を開け窓の外を眺めながらそうつぶやいた。

 

私は社長に追い詰められていた。社内でカワカミが社長を裏切ったという噂が流れ

激怒した社長が、社員が全員帰った後私を事務所に呼び出したのだ。

 

「もちろん、そんなことは一切ありません。」

なんども弁明するが、社長は一切、聞く耳を持とうとはしない。

 

それどころか「なんで今までこれほど可愛がってきたのに、お前はそんなことするんだ!」と

テーブルを叩きつけながら、時には足で椅子を蹴飛ばしながら

息ができなくなるくらいまで私を怒鳴りつけた。

虫の居所がおさまらない社長は

「とにかく責任を取れ!」の一点張りだった。

もちろん何度も会社を辞めて責任を取りますと伝えたが、それでは気が済まない様子だった。

 

この会社に入って3年。

私は会社にすべてを注ぎ込んできた。寝る時間を惜しみ、家族の時間を犠牲にして。

理不尽すぎる今の状況に頭が混乱し、この場をどうやって潜り抜けることができるか、

それだけを必死で考えていた。

 

この社長は若いころから事業家として有名な人だった。

メディアにも何度も取り上げられ時代の寵児(じだいのちょうじ)と呼ばれていた。

 

そんな社長の逆鱗に触れた私は

仕事で成果をあげることで、短期間で出世し平社員からあっという間に社長のかばん持ちにまでなっていた。

関係者のあいだでは「カワカミは社長の懐刀」と呼ばれるくらいになっていた。

 

この追い詰められた状況でこれほどカリスマ性のある社長からは逃げられない。

2時間以上監禁された事務所内で二人きり、繰り返される尋問に耐えかねた私は

ある決断を迫られていた。

 

「このビルから飛び降りてお詫びをする」ということだ。

 

そういえば聞いたことがある。確かこの社長の元部下で自殺した人がいたという話を。

 

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山下弘幸(やましたひろゆき)の自己紹介です

笑って泣けるストーリーが満載です。

悩んでいる農家の皆さんに是非読んでいただきたい物語です

 

山下弘幸ヒストリー① 卑屈な幼少時代

https://notera.co.jp/news/3158/

 

山下弘幸ヒストリー② 親との確執

https://notera.co.jp/news/3160

 

山下弘幸ヒストリー③ 人を育てる農家になる

https://notera.co.jp/news/3164

 

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