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ブログ 2026.10.20
講演より、母校の講義がいちばん重い。その本当の理由
先日、母校の農大で講義をしてきました。
非常勤講師として通い始めて、
もう10年以上になります。
農大を卒業して40年。
まさか自分が、後輩たちの前に立つ日が来るとは。
学生のころの私には、
想像すらできなかった姿です。
毎晩、夢を語り合った場所
若いころ、私のまわりには
夢を語る先輩や仲間がたくさんいました。
4Hクラブ(青年農業者の会)や、
農協青年部の仲間たちです。
先輩農家がいて、後輩農家がいて、
隣町や県内の農家とも顔を合わせる。
毎晩のように集まっては、夢を語り合いました。
今でいえば、農業者のコミュニティや
オンラインサロンに近いかもしれません。
ただし画面越しではなく、膝を突き合わせて。
そこには不思議な空気がありました。
夢が大きいやつほど、輝いて見える。
大きな夢を笑うやつもいましたが、
むしろ笑われるのは、夢を語らないほうでした。
今思えば、恵まれた場所でした。
風呂敷を広げた先輩たちの「その後」
ある先輩は
「政治家になって、日本の農業を変える」と豪語していました。
別の先輩は
「日本一の農家になる」と風呂敷を広げ、
もう一人は
「金持ち農家になる」とはったりをかましていました。
私はというと、
「テレビCMを流せるような農業の会社をつくりたい」。
それから数十年。
政治家になると言った先輩は、国会議員になりました。
日本一の農家になると言った先輩も、
金持ち農家になると言った先輩も、
そのとおりになりました。
私が立ち上げた農業の会社も、
ローカルではありますが、
毎朝テレビCMが流れる会社になりました。
夢は、別の言葉でいえば「ビジョン」。
なりたい自分の姿を、先に思い描いておくことです。
ビジョンがある人は、決めるのが速い
先輩たちを見ていて、気づいたことがあります。
ビジョンのある人は、
判断と決断がとにかく速い。
なりたい姿がはっきりしているから、
その未来から逆算して、
「今やること」が見えているんです。
私が迷っていると、
先輩たちによく言われました。
「今やる、すぐやる、今すぐやるんだ」
当時の私に、ビジョンがあったわけではありません。
夢を語っていただけ。
風呂敷を広げて、
はったりをかましていただけでした。
【図解1】

決めても動けない「環境の壁」
ただ、決断が速くても、
差がつくのはその先。行動です。
決めても、動かない。動けない。
そのままだと夢は夢のまま終わり、
「あいつは風呂敷を広げただけだった」
と言われてしまう。
でも、本人の気持ちだけでは
どうにもならないこともあります。
親がまだ経営に口を出していて、
思うようにできない。
出荷グループに属しているから、
勝手なことはできない。
ビジョンを描いても、
絵に描いた餅になってしまう環境。
多くの農家さんと向き合ってきて、
ポテンシャルの高い人ほど、
この「環境の壁」に可能性を削られている場面を
何度も見てきました。
私自身も、27歳で農協出荷をやめ、
売り方も作物も変えるかたちで環境を変えました。
親とぶつかり、遠回りもしました。
それでも、そこから
「今、何をするか」を一つずつ積み上げた先に、
なりたかった人生がありました。
願っていなかった自分にも、なっている
ところが、人生には
願っていないことも起きます。
その一つが、母校での講師です。
学生のころ、農大の教壇に立つ自分なんて
思い描いたこともありませんでした。
なりたい自分とは、まったく別の自分になっている。
本音をいうと、
母校での講義は、できれば引き受けたくないんです。
これから社会に出ていく、
まっすぐな学生たちに影響を与えてしまうから。
私自身、学生時代に出会った先生から
大きな影響を受けました。
それくらい多感な時期に、
自分は何を手渡せるのか。
年間40本近い講演やセミナーをしていますが、
いちばん荷が重いのが、この母校の講義です。
毎回お断りしているのですが、
どうしてもと頼まれて、しぶしぶ引き受けている。
それが本当のところです。
【図解2】

だから、いちばん力が入る
それでも、やると決めたら精いっぱいやります。
たぶん、どの講演よりも力が入っています。
話す内容は、毎回同じです。
あなたの人生を決めるのは、ビジョン。
なりたい自分には、なれる。
だからこそ、環境を選んでほしい。
40年前の自分に伝えたかったことを、
今、後輩たちに話しているのかもしれません。
最後に
若いころ語っていた夢は、何でしたか。
そして今いる環境は、
その夢に向かって動ける場所でしょうか。
答えはすぐに出なくても大丈夫です。
思い出すだけで、
何かが少し動き出すことがあります。
「環境を変えたいけれど、どこから手をつければいいか分からない」
そんな方は、是非、お話を聞かせてください。
農業界を明るく照らす農テラス。
農業界を、一緒に照らしましょう。