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ブログ 2026.08.22
JAって実はすごい仕組みだった
個人でも戦える「王道の農業ビジネスモデル」という選択
キャベツ1個500円なら買う。でも800円だったら、ちょっと考える。
レタス1個1000円だったら、まず手が止まる。
これ、当たり前のことのようで、実は農産物を売るうえでとても大事な話につながっている。
こんにちは。脳を耕す農業コンサルタントの山下弘幸です。
消費者は「2つ」でしか商品を見ていない
普段、自分が消費者として何を買っているか思い出してみると、面白いことに気づく。
自動販売機のコーヒー、スーパーの野菜、コンビニのタバコ。これは「日常品(必需品)」。
一方で、子どもの入学祝いにディズニーランドでランチを食べたり、友人の結婚式のためにスーツを新調したり。これは「満足品」。
消費者は、この2つのどちらかで商品を選んでいる。そして自分が育てている農産物が、どちらのポジションにあるかで、これから取るべき戦略がまったく変わってくる。
スイカからナスへ。作物を変えて見えてきたこと
もともと自分はスイカを作っていた。あの頃、スイカは完全に「満足品」だった。
そこからナス、ほうれん草へと切り替えていったとき、扱っている作物が「必需品」に変わっていったことに気づいた。
満足品も、必需品も、両方経験してきた。だからこそ見えてくることがある。それぞれ、勝ち方がまったく違うのだ。
スイカを作っていた頃は、贈答用としての価値をどう高めるか、糖度をどう上げるかに気持ちが向いていた。ナスやほうれん草に切り替えてからは、いかに安定して量を出し続けられるかに意識が変わった。同じ「農産物を作る」という仕事なのに、頭の使い方がまったく違う。この転換を経験して初めて、必需品と満足品は別の商売なんだと腹落ちした。
必需品は「安さ」の土俵で戦うしかない
必需品、いわゆる日用品には、お客様目線というシビアな現実がある。安い方がいいと、消費者は思っている。
これは1945年、終戦直後の食糧難から始まった構造だ。あの頃は作れば売れる時代だった。今は物が溢れていて、選んでもらうこと自体が難しい。
必需品で戦うなら、規模を拡大してコストを下げ、安く供給する努力をするしかない。田んぼを広げ、機械を増やし、人を雇う。スケールメリットで勝負する道だ。
【図解1】

「個人では規模拡大なんて無理」という人へ
とはいえ、隣の農業法人のような規模拡大は、個人ではなかなか難しい。そう感じている人も多いはずだ。
そこで力を発揮するのが、王道の農業ビジネスモデル、いわゆる「共同出荷」という仕組みだ。
個々の農家が収穫したものを取りまとめ、同じ規格・同じブランドで選別し、まとめて出荷する。集めた量に応じて代金を再分配する。この仕組みを担ってきたのがJAだ。
1人では市場に持ち込めない量も、まとめれば戦える。これは農業共同組合、つまり農家自身が作り上げてきた仕組みだということに、あらためて気づかされる。
満足品も、実は安泰ではない
では満足品なら安心かというと、そうでもない。
利益の出る商品には、必ずライバルが集まってくる。シャインマスカットや桃は、すでに海外で模倣品が流通し、せっかく築いた高値が崩れ始めている。
さらに景気にも左右される。メロン1個1万円が売れるかどうかは、財布の紐がゆるむ時代かどうかにかかっている。高度経済成長期のように「高く作れば高く売れる」時代は、もう前提として成り立たなくなっている。景気が良くない今、高額な満足品を売り切るのは、想像以上に難しい局面に入っている。
自分はどのポジションにいるのか
必需品か満足品か。共販か個販か。この2つの軸で見ると、自分がどこで戦っているのかが見えてくる。
必需品×共販なら、王道の農業ビジネスモデル(共同出荷)が力になる。満足品×共販なら、ECサイトを組み合わせた販売も選択肢になる。必需品×個販で規模拡大の道を選ぶ人もいれば、満足品×個販でファンビジネスを築く人もいる。
どれが正解ということではない。まず自分がどこにいるのかを知ることが、次の一手を決める最初の一歩になる。
自分のポジションが分からない、他の農業者がどんな選択をしているのか気になる、という方は、農テラスの無料相談や農ビジ会でも、こうした話を具体的な事例と一緒に扱っている。
