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ブログ 2025.10.16
自由になるほど、不安になる?
農業,農村課題を経験と知恵でサポートする
農業戦略家の山下弘幸です。
さて、今回のテーマは
「自由になるほど、不安になる?」
私はこれまで多くの人に「農業を始めた方がいい」と伝えてきました。
農業を始める人を応援し、支援するのが私の仕事です。
しかし最近つくづく思うのです。
農業を“始める”前に、まず“関わってみる”ことが大事なのではないかと。
つまり、独立して農業を始めようとしているのなら、
「ちょっと待ってください」。
それよりも「違う形で農業に関わる方法がありますよ」というのが、今回の話です。
農業ベンチャーに入って気づいた“自由”の現実
この考えは、私がかつて農業ベンチャー企業に入った経験から生まれました。
当時の私は「農業をビジネスとしてどう成り立たせるか」を探している最中。
現場に入って初めて、“働く”ということの構造が見えてきたのです。
農業ベンチャーに入って驚いたのは、想像以上に“人間的”な仕事だということ。
作物を育てる以上に、チームを育て、売上を作り、経営を守る。
そこに必要なのは技術ではなく、判断力と責任感でした。
離農と再挑戦
私は37歳のとき、実家の農業を畳みました。
農業の世界ではそれを「離農」と言います。
離農すると、近所ではすぐに噂が広まります。
「あの農家は農業で食べていけなかったらしい」「借金があるらしい」などと。
農業を辞めるとまるで“非国民”のような扱いを受ける、不思議な業界です。
しかし、私の場合は真逆。
一番儲かっている時に離農しました。
理由はシンプルです。
「調子がいい時に次の展開を考える」——それが大事だと知っていたからです。
とはいえ、違う世界に飛び込むのは簡単ではありませんでした。
これまで自分が社長、自分が親方として、すべてを自分で決めてきた。
しかし、組織に入れば上司や経営陣の意向に従わなければならない。
その“居心地の悪さ”には正直、苦しみました。
組織に入って初めて知った“安定”
とはいえ、組織には組織の良さもあります。
給料は毎月入ってきて、休みを取る仕組みがある。
私は就職して初めて“有給休暇”なるものを知りました。
自営業のときは休めば収入が止まる。
それが「休んでも給料が出る」——まるで夢のようでした。
その後、私は会社を辞め、再び独立して「農テラス」を立ち上げました。
辞めた理由もシンプルで、ここでもまた“次に進みたかった”からです。
おかげ様で、中途採用の一兵卒だった私も本部長、そして子会社の代表取締役を務めさせていただきました。
だからこそ、次に進むタイミングだと感じたのです。
自由の裏にある“怖い夢”
再び独立してフリーランスになり、「自由」を手に入れました。
ですが、自由には代償があります。
お金の心配、経費の支払い、取引先との関係維持、社内マネジメント…。
24時間フル稼働しても時間が足りない。
雇われる側と雇う側、どちらも経験して初めて分かることがあります。
従業員の立場では「給料は高い方がいい」と思っていましたが、
経営者になると「給料払う側の痛み」を知ることになります。
そして時々、私は“怖い夢”を見ます。
それは「再就職して安定を求めている自分」の夢。
特に支払いが重なる月末など、ふとその夢を見て目が覚める。
潜在的に「安定」を求めている自分がいるのだと気づかされます。
農業と関わることから始めよう
だから今、こう伝えたいのです。
「農業を始めたい」「地方に移住したい」と思う前に、
まず“農業に関わってみる”ことから始めてほしい。
副業として関わるのも良いでしょう。
もし副業が難しいなら、旅をしながら農業を手伝う「オテツタビ」などのサービスもあります。
すきまバイト、スポットワーク、援農ツアー、ファームステイ——
農業に関わる方法は今、いくらでもあります。
農業に関わることの“副産物”は大きいです。
地域とのつながり、農家との絆が生まれ、
結果として「食」に対する不安が解消されます。
一方で地方は地方で関係人口が増え、地域が元気になる。
おわりに
農業を始めるとなると
世間の評価は高いモノです。もちろん農業界はウェルカムですし、
全面的に応援します。地方に移住してくれるならヒーローです。
きっとあなたはクローズアップされるでしょう。
しかし、現実は表裏一体、結構シビアなのです。
だから、まずは“農業と関わる”
そこに価値があります。
社会的意義と自分の人生が一つになれるように感じる農業ですが、
安定を捨ててまでやるべきかどうかは一度立ち止まって考えてみてください。
会社を辞めずに農業をやる選択も、立派な一歩です。
その小さな一歩が、あなたの人生と地域を照らす光になるはずです。
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