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物語 2024.04.26
『支配』全21話 ―第9話― 「孤立」
こんにちは。農家著述家の山下弘幸(やましたひろゆき)です。
本業は農業。現在は農業コンサルタントとして全国の農業者のサポートを行っています。
また、農業講演家として講演、講座、研修、セミナーなど全国各地に呼んでいただいています。
日頃は、全国農業者のオンライコミュニティ農ビジ会や農業ビジネススクール運営
youtube(農テラスチャンネル)などで農業経営・農業ビジネスの最新情報をお届けしています。
さて、今回の山下弘幸の書下ろしストーリーは
『支配』全21話 ―第9話― 「孤立」
主人公は生まれも育ちも仕事も農家の「カワカミトシロウ37歳」
家業の農業を離れひょんなことから企業に入社する。
だが、そこで待ち受けていたのはこれまで経験したことがない試練の連続だった
『支配』全21話 ―第9話― 「孤立」
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
前回までのあらすじ。
社長から攻め立てられビルの窓から飛び降りる決断を迫られている状況で
攻められる理由を考えていた。それは社長が何かにとりつかれていることと、私の過去が深く関係していた。
当時会社を任されていた私はがむしゃらに働いていたが、事件はそんな最中に起きた。商品事故により人身事故が起きたのだ。その事件により私の立場は危うくなった。事件の発端は「カワカミだ」という噂が社内に流れ始めていた。
私は社長に追い詰められていた。社内でカワカミが社長を裏切ったという噂が流れ
激怒した社長が、社員が全員帰った後私を事務所に呼び出したのだ。
「もちろん、そんなことは一切ありません。」
なんども弁明するが、社長は一切、聞く耳を持とうとはしない。
それどころか「なんで今までこれほど可愛がってきたのに、お前はそんなことするんだ!」と
テーブルを叩きつけながら、時には足で椅子を蹴飛ばしながら
息ができなくなるくらいまで私を怒鳴りつけた。
社長はまるで見えない何かに支配されているようだった。
社内では一連の事件はカワカミが起こしたという噂が流れ、私は社内で孤立していた。
人間は無視されることが一番苦痛だ。自分がこの世に存在していないかのような扱われ方は人の気を狂わせる。
子供が学校でいじめられ自殺するのはこう言う状態になるからだろう。
なんで、こんなことになったのだろう。親の言うことを聞いて、親の言う通りの農業を続けて、暖かい人たちに
囲まれていたあの頃に戻りたい。誰も私を責めたりしない。親の七光りであったとしても、それでいい。
こんな針のむしろの上で毎日を過ごすくらいなら、いっそうのこと、この窓から飛び降りてしまおう。
追い詰められた私はこの場を打開するために社長が空けた窓に近寄って行った。
ビルの窓から下を見下ろせばヘッドライトの灯りが小さく見える。遠くから救急車のサイレンが聞こえてくる。
ビルの下から吹き上がる風が私の顔を下から撫でていく。
隣には恰幅のいい社長が鬼の形相のまま仁王立ちでこちらをにらみつけている。
わかりました。社長。これまでお世話になりました。
私は、窓の枠に手を伸ばし、身を乗り出した。
その時、
ツルルー、ツルルー。オフィスの電話が鳴った。
電話が鳴り響く中、私たち二人には沈黙が続いた。「カワカミ君、もう遅い、帰りたまえ」
サイコパスな社長が我に戻った。しかしサイコパスなのは私の方だったのかもしれない。
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