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ブログ 2024.03.28

農家の役割 「地域の役職」

こんにちは。農業講演家の山下弘幸(やましたひろゆき)です。

農業歴35年の農業コンサルタントです。現在、講演、講座、研修、セミナーなどで

新規農業者、若手農業者企業農業参入などをサポートさせていただいていております。

また、”稼げる農業を実現する半歩先行く農業者”のオンラインコミュニティ

農業ビジネス研究会(農ビジ会)で全国の若手農業者の経営サポートを行っています。

 

さて、今回の、農テラスブログのテーマは

「地域の役職」についてお話しします。

農業をやっていると、とにかく農作業以外の「地域ごと」がとにかく多い。

「地域ごと」とはその地域を維持存続させていくために必要な「はたらき」のことを指します。「はたらき」とはいえほとんどが「ボランティア」

この「地域ごと」は「報酬」はありません。

これらは仕事ではなく「役」であり「務」なのです。

さて、私がこれまでに努めてきた役にはどのようなモノがあったのかご紹介いたします。

まずは地区内で消防団があります。

【消防団】

私も20歳から36歳まで属していました。これは地元の先輩から強制的に加入させられます。そして私も先輩になると後輩を強制的に入団させていました。

これにより、地域の同世代との交流が密になり地元愛を深めることができました。

しかしながら、年末年始はほぼ消防団に時間を費やします。年末は夜警で詰所に通い、

年明けには初詣式典のために毎日訓練が続きます。

年末年始に旅行に出かけている人が心の底からうらやましいと思っていました。

消防団の役が終わること地区の体育委員が回ってきます。

 

【体協】

これは地域行事の運動会、駅伝、町のイベントであるスポーツ大会などの運営や選手選考などが主な仕事です。この役割は同世代のみならず地域の方々すべての世代に関わります。

イベントはほとんどが春と秋。農作業がめちゃくちゃ忙し時期と重なります。

行楽シーズンは農作業が忙しい。それに加えて地元のイベントはもっと忙しい。

春と秋の行楽シーズンにプライベートなど考えられませんでした。

 

その役が終われば安全委員。

【安全協会】

これは地元のお祭りやイベント時の交通整備や通学路の整備などです。これはもう社会活動になります。見えないところで地域を支えるこれぞボランティアです。これもイベントやお祭りを見に行くのではなく、運営側でスタッフの帽子をかぶって裏方です。

 

農業に関わる団体では農協が筆頭です。

【農協】

農協が主催する何かしらの説明会や出荷部会の勉強会、はたまた選挙前になれば

頭数のために動員されます。この時誰が来ていたか幹部からチェックされます。

特に就農当時は必然的に青年部に所属することになりますので、動員要因として

農協団体が行うデモに参加させられたこともありました(笑)

 

それとは別途で

【青年部】

青年部の研修、定例会に総会と日ごろから引っ張りだこです。

そして、これらに真面目に出席していると「単協」のみならず「県連」のイベントにも

借りだされたりします。

もう、我が家の仕事どころではありません。

 

【部会】

ある程度キャリアを積めば「出荷部会」の部会長、地区の青年部長が回ってきます。

ある人にはステイタスかもしれませんが、興味ない人には「苦役」になります。

 

就農当時頑張っていた地域活動に青年団がありました。

【青年団】

今ではなくなった団体ですが、当時はまだ活気がありました。いまから35年前の話です。

とは言え、時代はバブル景気の真っただ中、青年団という組織の存続が危ぶまれていた時期です。主な活動は地元の祭りの運営です。そう、祭りの主催者です。

その運営は先輩たちから引き継がれ地域のリーダーが育ちます。

まずは協賛金を集めるために地元の有力者へのあいさつ回り、団の運転資金を確保するため肥料配達の仕事やソーメン、ジュース販売を農協から引きうけていました。

自分の仕事を休んで団の資金作りに精を出す。当時はそれに疑問を持つ余裕はありませんでした。これらはすべて団長が仕切ります。

団長といっても年齢順に踏襲していくだけ。

だから

あーあと3年したら自分の番だとわかります。そこで私の番が来た時に

私は役を「断りました」

えー!断る?ってありなの?

 

そうです、断わるなんて選択はこれまでNGでした。でも私は「断りました」

仕方がないので私の2つ下の後輩にその「役」が回ります。

でも、その後輩も「断」りました。そしてその下の後輩も・・・

 

そうして私の地元の青年団は「消滅」しました。

 

私が地域活動で一番力を入れていたのは「4Hクラブ」

【4Hクラブ】

正式名称は「青年農業者連絡協議会」いわゆる若手農家の集まりです。

この「役」だけは県の役職まで「務め」ました。

 

なぜなら自分の中で一番しっくりくる組織だったからです。

これは人により価値観が違うので一概に言えませんが、私はこれに費やす時間を

優先していました。

 

さて、これまでお話ししたように

農村社会で生きていくには多くの「役」と「務」をいくつも兼務しなければいけません。

【他にも】

農業員会、土地改良区、水利組合、認定農業者、○○を守る会、○○協議会・・・

 

役所農政課が事務局の諸団体やら勉強会やらキリがありません

 

そしてその組織に属するだけでなく、やがては

その組織の役職を受け、組織を運営する「大役」も果たさなければならないのです。

 

更に、結婚して子供が生まれ、

保育園に通うようになれば、更に「付き合い」は広がります。

【保護者会】

保育園の保護者会が待っています。保護者会で会長を務め、子供が小学校に上がればPTAが待っています。PTAの総会で役割が課せられ「子供のため」という大義のもと

いろんなイベントに借り出されます。

 

もはや、我が家の仕事どころではありません。

 

そこで私は考えた。そうだ!スケジュールを自分都合に合わせよう。

【PTA】

そう思い、子供が中学に入るや否やPTA会長を務めました。

ところが、町のPTA会長を引き受けるとやれ郡Pだのやれ県Pだのと

ここでもまた教育関係の動員に借り出される始末。

私だけならともかく○○学校は○○人集めてください・・・

 

いやいや、これっていったい「誰のため」の「なんのため」???

 

よく、先輩が言っていました。

俺たち農家は地域の役職なんてやらずに

仕事だけやっていれば「めちゃくちゃ儲かるのにな」って。

 

現に、地域の役職をたくさん引き受けて「我が家」の経営が

なり立っている「農家」もたくさんあります。

 

でも、それは・・・

 

見えないところで「我が家」の「家族」が支えているから。

縁の下で「奥さん」「かあさん」「ばあちゃん」が支えているから。

 

地域の皆さん。

お疲れ様です。皆さんのおかげ地域は成り立っています。

 

ただ、これがフツーだとするならば

 

やがて地域を担う者はいなくなるのではないでしょうか。

 

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笑って泣けるストーリーが満載です。

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山下弘幸ヒストリー① 卑屈な幼少時代

https://notera.co.jp/news/3158/

 

山下弘幸ヒストリー② 親との確執

https://notera.co.jp/news/3160

 

山下弘幸ヒストリー③ 人を育てる農家になる

https://notera.co.jp/news/3164

 

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