あなたは何のプロを目指していますか。

こんにちは。脳を耕す農業講演家の山下弘幸（やましたひろゆき）です。

今回の、農テラスブログのテーマは

あなたは何のプロを目指していますか。

 

先日プロの料理人の方とお会いした。

プロの料理人とは腕が良いのは当たり前だが

 

1級のプロ料理人は食材にかなりこだわる。

なぜなら、料理の味は食材がすべてだかららしい。

 

1級の漁師は魚を取り続けるには海に栄養をもたらしてくれる

川を大事しなければいけないという。

そして川に流れる山を大事しなければと森林を守る活動をやっている。

 

同じようにこの料理人も

食材にこだわるために農家から育てようとされているのだ。

 

私も味にこだわり、品質にこだわってきた。

そのために土づくりには特に力を入れてきた。

まずは慣行だった土壌消毒を止め、化成肥料の投入を一切やめ有機肥料を入れ始めた。

圃場には腐植率を高めるために竹くずを堆肥化したものを土に入れ、連作障害が起きないようにケイ酸を多く含むもみ殻を独自で堆肥化させたモノを土に入れた。

土中の微生物が住みやすいようにと竹炭も土中に混ぜ込み最後に抵抗勢力が入ってこないようにバチルス菌で土壌をコーティングした。土に良いとされることは大概のことはやった。

 

当然、土壌はふかふかとなり驚くような品質のモノができた。

しかし、2つの理由でこだわることを止めた。

一つ目はどれだけ人間が手を加えたところで自然のモノには変わらないということに気付いたからだ。

ハウス内で育てている限り、それは養殖であり、本来のその植物のポテンシャルは引き出せない。経済農業を追求する以上、栽培にこだわったところで天然の素材には叶わない。

二つ目はそのこだわりを評価してくれる人がいなかったことだ。

農協共販は規格があってその規格内で評価が決まる。主に形状や艶、傷の有無など

「見た目」の評価だ。卸売市場や青果取引ではこれに加えて鮮度や物流のしやすさ、ロットなどが重要視される。

当時、味や末端消費者の好み、健康まで気を使って栽培したところでこれらを評価してくれる人はいなかった。

 

現在セミナー講演では「こだわりは捨てろと」と言い放っている。

それより流通業者が求めることにフォーカスしろと。

 

経済農業を追求する私の意見に

違和感、疑問を感じる人も多いだろう。

 

しかし、どれだけ良いモノを作ったとて、それが正当に評価されなければ

そのモノづくりは独りよがりにおわり、やがてその農家は

 

栽培すら継続できなくなるのです。

だから、私はおいしさを追求することを止め、経済を追求した。

 

明日も農業を続けたいのであるならば経済活動は否定してはいけない。

これが私のモットーです。

 

しかし、味や素材を正しく評価してくれる人がいるのであるならば

農家は経済よりも味や品質にこだわるべきだと思う。

 

先日お会いしたプロの料理人は味、食にこだわった

プロの食材生産者を探している。

 

プロの目と舌で本物の野菜を探している。

この方なら正当に私たちのこだわりや苦労や物語を評価してくれる。

 

20年前に出会っていれば私の食材も評価していただけたかもしれない

あの時、こだわりぬいて生産した私の一品を

1流の料理人に評価してほしかった。

 

プロになるためにはプロに学ぶ。

今の若手農家はどんなプロに学んでいるんだろう。

 

そして何のプロを目指しているんだろう。

 

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山下弘幸（やましたひろゆき）プロフィール
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