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ブログ 2026.08.27
10年後も生き残る農家になるために、今から「お金」を貯めよう
農業コンサルなら農テラス|代表 山下弘幸
「農業は稼げるビジネスだ」
全国で多数の成功事例を輩出する農業コンサルタント山下弘幸が、
経営・ビジネスの本質を伝授。
複雑な農業の課題をシンプルに紐解く講演やセミナー、
実践的な研修・講座を通じて、次世代を担う農家の成長を強力にバックアップします。
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さて、今週のテーマは
次回のテーマの一つでもある
「10年後も生き残る農家になるために、今から「お金」を貯めよう」
というお話です。

「また山下は金の話か(笑)」と思われるかもしれません。
でも、今日お伝えしたいのは、
「どうやってお金を稼ぐか」ではありません。
「稼いだお金を、ちゃんと残しているか」
ということです。
農家のような自営業はお金の勉強が必要です。
お金の勉強とは
まず、稼ぐ方法を学びます
次に、貯める方法。
そのあとは増やす方法
そして守る方法を学ぶのです。
今回は2番目の貯めるお話です。
さて、
農業という事業をするには、
元手となるお金が必要です。
種、肥料、農業資材。
トラクターなどの機械。
燃料代。
パートさんの人件費。
いろいろなお金を先に使って、
農産物を生産し、販売して、
ようやく売上が入ってくる。
つまり、
「お金を使って、お金を増やす」
というのが事業の基本です。
ところが、農業は「元手がなくてもできてしまう」
ここが、農業経営のちょっと怖いところです。
元手となるお金がなくても、
「借り入れ」
という方法があります。
さらに農業には、
「買い掛け」
という文化もあります。
先に肥料や種を買って、
「支払いは収穫物ができてからでいいですよ」
という後払いです。
これは農業を続けるうえでは、とてもありがたい仕組みです。
でも、見方を変えると、
「お金がなくても事業ができてしまう」
ということでもあります。
私は、ここに危機感を持ったほうがいいと思っています。
「お金がなくてもできている」は、実は危うい
例えば、
売上2,000万円。
年間経費1,500万円。
農業所得500万円。
こんな経営があったとします。
普通に考えれば、
1,500万円の経費を払いながら、
売上2,000万円を得て、
500万円を残す。
これでも事業は成立します。
でも、もし最初から
1,500万円持っていたらどうでしょう。
その1,500万円を使って農業をして、
2,000万円にして、
500万円を残す。
この状態のほうが、圧倒的に経営は安定します。
もちろん、最初から1,500万円持っている
農家なんて、そうそういません。
だから最初は、
借り入れをしたり、
買い掛けを利用したりしながら、
売上を作っていく。
これは仕方ありません。
問題は、
「ずっとその状態から抜け出せないこと」
なんです。
まずは「1年間の経費」を貯める
では、どれくらい貯めればいいのでしょうか。
私は段階的に考えるといいと思っています。
例えば、年間経費が1,200万円なら、
1か月あたり100万円です。
まず目指したいのが、
「4か月分」
です。
100万円×4か月=400万円。
なぜ4か月なのか。
農産物は、種をまいてから収穫するまでに時間がかかるからです。
大根や白菜なら、おおむね90~100日程度。
人参、お米、芋などなら100~120日程度。
作物によっては180日かかるものもあります。
ですから、
「自分が作っている農産物が、種まきから収穫までにかかる期間分の経費」
を、まず貯める。
これが最初の目標です。
次は「8か月分」
でも、農業は種をまいた瞬間から始まるわけではありません。
その前に、
圃場準備をしたり、
土づくりをしたり、
さまざまな作業をしています。
そこにも当然、お金と労力がかかっています。
そして収穫したら終わりでもありません。
調整、出荷、販売。
さらに圃場の片付け。
次の作付けの準備。
そう考えると、
「種まきから収穫まで」だけのお金では足りません。
そこで次のステップが、
「8か月分の経費を貯める」
です。
まず4か月分。
そして、さらに前後の期間を含めて8か月分。
そこまで貯まってくると、経営の安心感はかなり違ってきます。
最終目標は「1年分の経費」
そして、第3段階。
いよいよ、
「1年分の経費を貯める」
です。
売上が大きくなればなるほど、
1年分の経費を貯めるのは大変です。
でも、私はこれを一つの経営目標として
持っておいてほしいと思います。
なぜなら、
「1年間、売上がなくても事業を
回せるだけのお金がある」
ということだからです。
これって、ものすごく大きな安心感ですよね。
災害が起きたら、どうしますか?
農業には、何が起こるかわかりません。
地震。台風。水害。
病害虫。天候不順。
もちろん、収入保険や共済などで
備えることもできます。
でも、
すべてが100%補償されるわけではありません。
だからこそ、
「自分の経営の中に、自分で守れるお金を持っておく」
ことが重要になります。
10年後も農業を続けたい。
そう思うなら、
「今年いくら稼いだか」
だけではなく、
「いくら残したか」
にも目を向けてほしいのです。
「お金がない」の意味が違う
ここからが、
今日のちょっと面白いところです。
農家さんと話していると、
「いや~、お金がないんですよ」
という話をよく聞きます。
でも、
「お金がない」
には、実は2種類あるんです。
一つ目は
本当に通帳を見たら、ほとんどお金が残っていない。
これは本当に「お金がない」。
一方で、
「4か月分の経費は貯めている。
でも、このままいくと、そのお金を取り崩さなきゃいけない」
という人も、
「お金がない」
と言うことがあります。
でも、この2人は、
まったく次元が違います。
ここを間違えてはいけません。
周りの農家さんが、
「お金がない、お金がない」
と言っているから、
「自分もお金がないけど、まあ農家なんてそんなものだ」
と思ってしまう。
これは大変危険です。
隣の農家さんは、
実は4か月分の経費を「内部留保」
として持っているかもしれない。
そして、
「このお金には手をつけない」
と決めているのかもしれない。
そういう農家は
まだ10年後生き残れます。
さて、
あなたには「触ってはいけないお金」がありますか?
「寝かせたまま、手を付けないようにしているお金」がありますか?
ここで、ぜひ自分に問いかけてみてください。
「自分の経営には、もしもの時の内部留保はどれくらいあるか?」
経営の土台となるお金。
いざというときの保証となるお金。
何があっても手をつけないお金。
それが、
4か月分なのか。
8か月分なのか。
12か月分なのか。
それとも24か月分なのか。
ここが、
「これから生き残る農家」と
「常に自転車操業の農家」の大きな違い
になるのではないでしょうか。
「稼ぐ」だけが経営ではない
農業経営というと、
「どうやって売上を上げるか」
「どうやって単価を上げるか」
「どうやって収量を増やすか」
という話になりがちです。
もちろん、それは大切です。
私も「稼ぐ農業」をずっと伝えてきました。
でも、
稼ぐことだけでは、経営は強くなりません。
稼いだお金を、残す。
そして貯める。
そして、経営の土台として積み上げていく。
これも立派な経営戦略です。
10年後も農業を続けていたいなら、
ぜひ一度、
「自分の経営は、何か月分の経費を持っているだろう?」
と計算してみてください。
そして、まずは4か月分。
次に8か月分。
最終的には1年分。
少しずつでいい。
「貯める経営」
を始めてみてください。
きっと、今までとは違う「心の余裕」が生まれてくると思います。
ちなみに、ここまで貯めたお金を、
ただタンスや通帳に眠らせておくのか。
それとも、
資産運用に回して「お金にも働いてもらう」のか。
実は、ここにも大事な話があります。
これはまた、別の機会にお話ししましょう。
それでは、また次回。
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