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ブログ 2026.09.26
「美味しい」「安心」だけでは売れない時代
消費者と話していて気づいたこと
こんにちは。
脳を耕す農業経営戦略家の山下弘幸です。
農業コンサルとして600件以上の相談を受けてきて、よく聞く言葉がある。
「営業とか発信って苦手なんですよね」
「本当はもっと多くの人に知ってほしいんです」
自分たちが作っている農産物には、価値があるはずだ。なのに、なぜか買い叩かれる。需要と供給のバランスだと言われればそれまでだが、なんだか納得がいかない。そう感じている農業者は、決して少なくない。
もう一つ、よく出会うのが「自分の価値がよくわからない」という声だ。「私なんて、もっとすごい人がたくさんいるので」と、自分の取り組みを小さく見積もってしまう。これも、話を聞いていて何度も感じてきたことだ。
【図解1】

農家は「モノ」ではなく「価値」を作っている
僕自身、37年間この仕事をしてきて、最近ようやく言葉にできるようになったことがある。
農業者は「モノを作っている」のではなく、「価値を生み出している」ということだ。
価値とは、誰かが喜んでくれること。誰かに必要とされること。誰かが「ありがとう」と言ってくれること。
農業者は、日々それをやっているはずなのに、伝えていない。ここに、大きなギャップがある。
僕自身、スイカから始まり、ナス、ホウレンソウへと作物を変えてきた。32歳の頃には借金を抱えて苦しい時期もあった。そこから抜け出せたのは、栽培技術以上に、誰にどんな理由で届けたいのかを、少しずつ言葉にしていったからだったように思う。
スティーブ・ジョブズは「機能」を語らなかった
Appleがスマートフォンを世に出したとき、ジョブズは「こんな機能がある」とは言わなかった。
「私は未来を変えたい」
「みんながスムーズにつながれる世界を描いている」
そう語ってから、はじめて製品を見せた。スペックの前に、思いがあった。
農産物も同じかもしれない。「美味しい」「安心」は、もはや当たり前の情報になっている。それより前に、なぜ自分がこの作物を作っているのか。その理由や背景のほうが、実は届く力を持っている。
同じ地域で、同じ栽培方法をとっていても、始めた理由や積み重ねてきた背景は、一人ひとり違う。その違いこそが、伝わる言葉の源になる。
【図解2】

都市部の人たちが、実はつながりを求めている
先日の米騒動で、多くの人が体験したことがある。お金があっても、食べ物が手に入らないかもしれないという不安だ。
地方にいると気づきにくいが、都市部の人ほど、農業や農村、農家とのつながりを求めている。かつて多くの日本人のルーツをたどれば農家や農村につながっていたが、いつしかその距離は大きく離れてしまった。今度は農家側から、その距離を縮めていく番なのかもしれない。
自分の言葉を持つということ
「うちの農産物なんて」と、へりくだる姿勢は、日本らしい美しい文化だとも思う。ただ、それだけでは、これからの時代に価値を届け続けるのは難しい。
言葉を変えれば、出会う人が変わる。出会う人が変われば、仲間が変わっていく。
一人ひとりの農業には、それぞれの物語がある。家族構成も、始まりも、年齢も違う中で、同じ作物を育てていても、その背景に一つとして同じものはない。
その物語に、自分の言葉を乗せていく。それが、これからの農業者に求められる力なのだと、最近になって強くそう思うようになった。
農テラスでは、農業経営や情報発信について無料相談を行っています。ご自身の経験を言葉にする作業を、一緒に整理してみませんか。日々の学びを共有する「農ビジ会」というコミュニティもあります。ご興味のある方は、ぜひ覗いてみてください。
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今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう!