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ブログ 2026.09.25

農家減少でも農産物の価格が高くならない本当の理由

先日、こんなことを考えていました。

農家がどんどん減っているのに、なぜ野菜の値段は上がらないんだろう。

こんにちは。
脳を耕す農業経営戦略家の山下弘幸です。

需要と供給のバランスで考えたら、作る人が減れば値段は上がるはずです。実際、お米はそういう動きをしましたよね。でも野菜は違う。減っているのに、上がらない。

この違和感の正体を、あらためて数字で追いかけてみたら、見えてきたことがありました。

昨日までの成功が通じなくなっている

私が就農したのは1989年。今から37年前です。

当時は「作れば売れる」時代でした。高度経済成長からバブル期にかけて、農産物の産出額は右肩上がり。私より少し上の世代、今の70代・80代の方々にとっては、農業がいちばん儲かっていた時代を知っている世代でもあります。

ところが実は、私が就農したまさにその頃、日本の農業を取り巻く構造が静かに切り替わっていたんです。

野菜の輸入量は1970年代はわずか10万トン。それが1980年代に一気に100万トンへ。そこからさらに300万トン規模まで膨らんでいきました。

貿易の自由化です。お米は別として、それ以外の農産物は「輸入で賄おう」という方針に、国としての舵が切られたタイミングでした。

私が就農した1989年は、まさにこの転換点のど真ん中だったわけです。

農家は減っているのに、産出額は増えていない

数字を並べてみると、はっきり見えてきます。

農家戸数は、私が就農した頃で約300万人。今はおよそ100万人まで減りました。3分の1です。

普通に考えれば、作り手が減った分だけ農産物は希少になり、単価は上がるはずです。でも農産物の産出額は、1990年代も2020年代も、およそ10兆円のまま。ピークだった1990年代の11兆円からは、むしろ下がっています。

なぜこんなことが起きるのか。答えは輸入でした。

国としても、農家が減れば供給が不安定になることは織り込み済みです。だから価格が上がりそうになれば、海外から安いものを持ってくる。この構造がある限り、農産物の値段は「上がりにくい」んですね。

しかし時折、キャベツもレタスも高騰することもあります。あれは円安の影響で輸入量が減ったから。逆に円高だった1980年代は、海外のものがどんどん入ってきて、国内の価格は上がりにくかった。

農産物の値段は、実は畑の中だけでは決まっていない。為替と輸入という、畑の外側の力に大きく左右されているんだと、あらためて気づかされます。

国内で取り合っている場合じゃない

もうひとつ見えてきたことがあります。

私たち生産者は、つい「熊本の野菜がいい」「北海道の野菜がいい」と、国内の産地同士で市場を取り合いがちです。でもその間に、海外の生産者はもっと大きな視点で動いています。品質で勝負し、隣国に輸出し、新しい市場を開拓している。

国内の胃袋を、国内同士で奪い合っている場合じゃないのかもしれません。

選ばれる時代への切り替え

ここまでの数字を振り返ると、ひとつの発見にたどり着きます。

これからの農業に必要なのは、「市場を取り合う」発想から「選んでもらう」発想への切り替えなんじゃないか、ということです。

輸入という外部要因は、正直、私たち一人ひとりの努力ではコントロールできません。でも、お客様に自分の野菜を選んでもらう力は、magic wordのような特別なものではなく、日々の発信や関係づくりの積み重ねで育てられるものだと感じています。

600件以上の相談を受けてきた中で、この「選ばれる力」を持っている生産者ほど、価格競争に巻き込まれにくいという実感があります。

じゃあ、その「選ばれる力」はどうやって身につけるのか。次回以降、少しずつ言葉にしていきたいと思います。


農テラスでは、こうした農業経営のリアルな気づきをもとに、無料相談や農ビジ会での学びの場を用意しています。ご興味があれば、お気軽にお声がけください。

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今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう。

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