新着情報
What’s new
ブログ 2026.09.16
1次産業が3次産業する時代 見えてきた”新しい農業”のカタチ
こんにちは。
脳を耕す農業経営戦略家の山下弘幸です。
コンサルとして600件以上の農業経営に関わってくる中で、ここ数年、はっきりと見えてきたことがあります。
「1次産業が、3次産業をする」
こう言うと、ちょっと極端に聞こえるかもしれません。農家が、加工も卸も飛び越えて、いきなりサービス業をやる。そんな時代が、もう来ているんです。
そもそも農業は「材料をつくる」役割だった
コーヒーを例に考えてみます。
コーヒーの木からいきなり缶コーヒーが生えてくれたら便利なんですが、当然そんなことはありません。豆を育てる人、収穫する人、選別する人、焙煎する人、売る人、淹れる人。私たちが1杯のコーヒーを飲むまでには、たくさんの仕事がリレーのようにつながっています。
これを分類すると、
-
1次産業:豆を育てる(農家)
-
2次産業:焙煎・加工して製品にする(メーカー)
-
3次産業:お店やWebで売る、淹れて提供する(カフェ)
というかたちになります。農家の役割は、あくまで「材料をつくる」ところまで。そこから先は、次の担い手にバトンを渡す。これが、これまでの一般的な産業の姿でした。

コンサルの現場で気づいた「やってはいけない3つの農業」
600件を超える相談を受けてきて、共通してうまくいっていない農業には、3つのパターンがあることに気づきました。
① マーケットとつながっていない
材料を一生懸命つくることに集中しすぎて、それがちゃんと2次・3次に渡って、お客様に届いているかを追いかけられていない。結果、無駄につくりすぎたり、必要な時に用意できなかったりします。生産者・加工者・販売者、それぞれがサプライヤーとしてつながっているという意識が、まず土台になります。
② 安易な6次化
「1次産業×2次産業×3次産業=6次産業」という掛け算で、農家が加工や販売までまるごと抱え込む。平成の時代、ものすごく流行った考え方です。ただ、餅は餅屋という言葉があるように、加工ができたとしても、それが売れる保証はどこにもありません。マーケティングリサーチをせずにものづくりから入ってしまうと、「余ったから加工した」のに「加工した先でも余る」ということが、現場では実際に起きています。
③ 生産だけで完結する農業
すでに経営が確立している農家さんなら、生産に専念するのも一つの答えです。ただ、これから始める方が「生産だけで生計を立てよう」とすると、かなり厳しい戦いになります。どれだけ丁寧につくっても、届ける先とつながっていなければ、その価値は伝わりきりません。
見えてきた、もう一つのかたち
では、どうすればいいのか。
私がコンサルの現場で見てきたのは、農家が2次産業を経由せず、1次産業から直接3次産業へとつながっていくケースです。
コーヒー豆を育てている人が、自分でカフェを開く。自分の育てた豆を、自分の店で、自分の言葉でお客様に淹れて出す。あるいは、Webで直接販売する。
これ、意外と自然な流れだと思いませんか。豆をつくった本人が、それを一番おいしく飲んでもらう方法を、一番知っているわけですから。
(図解2:これから見えてきた、もう一つのかたち)

農業と他の産業の境目は、もうボーダーレスになってきています。農家だから生産だけしていてください、という時代ではなくなった。かといって、無理に2次産業(加工)に挑戦する必要もない。1次産業から3次産業へ、直接つながる道がある。これが、これから求められる「サービス農業」だと感じています。
37歳までの遠回りから、見えてきたこと
私自身、32歳の時に農業経営で一度どん底を経験しました。スイカからナス、そしてほうれん草へと作物を変えながら、37歳まで借金を返し続けた5年間です。
あの頃の私は、とにかく「良いものをつくれば、いつか誰かが見つけてくれる」と信じていました。今振り返ると、それは1次産業の役割にしがみついて、お客様との距離を縮める努力を後回しにしていたんだと思います。
今の言葉で言えば、当時の私に必要だったのは、加工技術でも6次化でもなく、お客様に直接つながる「3次産業的な視点」だったのかもしれません。
これからの農業について、考えていること
生産者が、直接お客様とつながる。
そのための入口は、カフェでなくてもいい。Webでの直接販売、SNSでの発信、直売所での接客、どんなかたちでも構いません。大切なのは、1次産業の枠の中だけで完結させないという視点だと感じています。
これから農業を始める方、すでに経営をされている方、それぞれの立場でこの視点をどう活かせるか。もしよろしければ、無料相談で一緒に考えさせてください。農ビジ会でも、こうしたテーマを継続的に扱っています。
農業界を明るく照らす農テラス
今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう!