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ブログ 2026.09.09
隣の農家が規模拡大する本当の理由、そして僕がハマりかけた落とし穴
脳を耕す農業経営戦略家の山下弘幸です。
農作業をしていて、ふと手が止まる瞬間がある。
隣の農場が、また従業員を増やしていた。 新しい機械が納品されているのを見た日もあった。 気づけば規模がどんどん大きくなっていく。
自分は家族経営でコツコツやっているだけなのに、なんだか置いていかれているような気がして、心がざわつく。
正直に言うと、僕もずっとそうだった。
隣の芝生が青く見えていた頃
平成元年、就農したばかりの僕の周りには、勢いのいい先輩たちがたくさんいた。
「うちは何人雇ってる」 「あそこは4トントラックまで持ってる」
そんな話を聞くたびに、うわ、かっこいいな、儲かってるんだろうな、と単純に思っていた。自分だけ足踏みしているような気になって、俺もああなりたいと焦っていた時期がある。
その気持ちのまま規模を広げていたら、たぶん今の僕はいなかった。
37歳、たまたま飛び込んだ場所で見えてきたこと
37歳のとき、ひょんなことから、ある企業的な農業の仕組みに関わることになった。
そこで、なるほどと腑に落ちたことがある。
大きく展開している農業と、それまで自分がやっていた農業とでは、「お金の増やし方」がまったく違う仕組みで動いていたのだ。
この違いを知らないまま、みんなが規模を広げているからという理由だけで自分も拡張していたら、借金だけが膨らんで身動きが取れなくなっていた可能性がある。今そう思うとぞっとする。
「儲かった200万円」をどう扱うかで道が分かれる
数字で見るとわかりやすい。
売上1000万円、経費が1000万円かかって、手元に200万円残ったとする。
この200万円を、来年どうするか。
企業的な農業は、この利益をそのまま追加投資に回す。1000万円を投じて1200万円になったのなら、1200万円をまた投じれば1440万円になるはずだ、という考え方で、どんどん資金を大きく回していく。
一方、個人・家族経営の農業では、儲かった200万円はまず「蓄え」になる。同じ規模の作付けを続けながら、毎年200万円ずつ積み上げていくイメージだ。

数字にすると、こんな差になっていく
同じ「200万円の利益」からスタートしても、その後の動き方でこれだけ変わってくる。
蓄積型は毎年コツコツ200万円。3年で600万円貯まる、堅実なやり方だ。
一方、運用・再投資型は、1年目の利益200万円をそのまま投資に回すことで、2年目は240万円、3年目は288万円と、年々利益そのものが膨らんでいく。

どちらが正解ということではない。ただ、企業がなぜあんなに投資を続けるのか、その理由がここでようやく腑に落ちた。
大きく回している経営者ほど、実は自分の給料はそれほど変わらないという話もよく聞く。会社のお金を大きく循環させることで、安定的に自分の取り分が入ってくる仕組みを作っているだけなのだ。
僕がハマりかけた落とし穴
これがわかっていないと、隣の芝生が青く見えるまま、ただ真似をしてしまう。
「隣がドローンを買ったからうちも」 「隣が従業員を増やしたからうちも」
そうやって計算のないまま規模を広げると、それは投資ではなく、ただの消費になる。蓄えが減るだけの拡大で、借金をしてまでハウスを建てることになれば、本末転倒だ。
僕自身、あの焦りのまま突っ走っていたら、今頃どうなっていたかわからない。
逆に、企業的な農業をやっているのに、利益をやたら手元に貯め込もうとするケースもある。回すべきお金を自分のところで止めてしまうと、そこで経済が澱んでしまう。税金に持っていかれるだけになることも多い。
それぞれの農業に、それぞれの増やし方がある
企業的農業と、個人・家族経営の農業。
どちらも間違いではなく、そもそも「お金の増やし方」の設計図が違う。
これを知らずに規模だけを追いかけると、思わぬところでつまずくことがある。逆に、自分がどちらの道を選んでいるのかを一度整理してみると、次の一手がずいぶんクリアに見えてくる。
僕自身、37歳でこの違いに気づけたことが、その後の農業コンサルとしての土台になっている。
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今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう!