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ブログ 2026.08.24
じいちゃんばあちゃんの生産効果21%は、代替え雇用で5%に激減する
こんにちは。脳を耕す農業コンサルタントの山下弘幸です。
農業経営者向けのコンサルをしていると、必ずぶつかるタイミングがある。
「もう親には体力的に無理をさせられない。パートさんを雇おう」
この決断、ものすごく大きな分岐点になっている。決算書の数字を並べてみたら、その理由がはっきり見えてきた。
自分自身、農業法人を経営していたとき、同じ壁にぶつかったことがある。両親が現場を離れ、代わりに人を雇った瞬間、なぜか手元に残るお金が減っていく感覚があった。当時は経験則でしか捉えられなかったが、今こうして決算書の数字にすると、その正体がはっきり見えてくる。
決算書に残っていた「21%」という数字
ある農家さんの決算書を分析していたときのこと。
売上2,000万円、生産コスト600万円、販管費600万円。両親に100万円、後継者に150万円、借入返済に150万円払って、自分の所得が350万円、営業利益が50万円という内訳だった。
ここで気づいたのは、この農園が実際に生み出した付加価値は800万円だということ。両親・後継者・自分、合わせて3.5人で800万円を作っていた。
そして労働時間を見ていくと、両親の支払い100万円に対して、生み出している経済効果は21%という数字になっていた。
つまり100万円しか払っていないのに、しっかりそれ以上の利益を農園にもたらしていたということだ。
同じ「800万円」のはずが、5%に落ちる
問題はここから。両親が体力的に引退し、代わりにパートさんを雇用したケースを同じ条件で比較してみた。
売上・付加価値額は同じ800万円。ただし人数は3.5人から5人に増え、パートさんへの支払いは200万円に膨らんだ。
このとき、支払い200万円に対して生まれている生産効果は、わずか5%だった。
同じ800万円を生み出すのに、必要な人数も時間も増えている。体は楽になったはずなのに、農業所得としては目減りしているという構図が浮かび上がってきた。
農業は種を蒔いて、肥料をやって、労力を注ぎ込み、収穫という形で回収する、投資と回収の連続だと捉えている。人を雇うというのも、実はこの投資の一つ。だとすれば、支払った分に対してどれだけ回収できているかを見ないまま雇用を続けるのは、投資の中身を確認せずにお金を投じ続けているのと近い状態だと言える。
【図解1】家族経営・代替雇用・理想形の生産効果比較

なぜ、じいちゃんばあちゃんは「強い」のか
家族が生産効果21%を出せていた理由は、単純だった。長年その畑・その作業に慣れていて、体の動かし方も手際も仕上がっている。しかも人件費として計上される金額が、実際の労働価値よりだいぶ低く抑えられている。
これは家族経営が優れているという話ではなく、「慣れた人が、安いコストで高い成果を出している」という、農業の現場でよく起きている現象だとわかった。
だからこそ、その体制がなくなったとき、コストと成果のバランスが崩れる。これは多くの家族経営が通る道だと感じている。
数字の先にある「理想形」
同じように分析を重ねていくと、従業員を雇いながら生産効果41%を出している農園にも出会った。
売上4,000万円に対して、従業員の給与は250万円。ところが実際に生み出している価値は581.8万円分。支払いを大きく上回る成果を出している状態だった。
家族の「勘と慣れ」に頼っていた21%の効果を、仕組みや育成によって従業員でも再現できている。そんなケースが実際に存在している。
この差がどこから生まれるのか、決算書だけでは見えてこない部分もある。ここは個々の経営によって事情が変わってくるところだ。
もし自分の農園の数字を一緒に見ながら整理したいという方がいれば、無料相談でお話を伺っている。農ビジ会でも、こうした決算書の読み方をテーマに扱うことがある。
数字は、思っている以上にいろんなことを教えてくれる。
