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ブログ 2026.07.20

どん底だった32歳、私を救った1冊の本

商売から学ぶ農業成功法 ―― 「売りたいもの」ではなく「欲しいもの」を届ける

農業を「商売」として捉え直すと、驚くほど景色が変わります。

今日は私、山下弘幸(農テラス/農ビジ会)が実際に体験した「どん底からの気づき」をもとに、商売の視点から見た農業成功法を3つ、具体的にお話しします。

32歳、どん底で気づいたこと

私は27歳のとき、親から農業を引き継ぎました。

そして32歳のとき、経営はどん底に落ちました。

お金は足りなくなる。子どもは泣く。奥さんからのプレッシャーもかかる。「大丈夫なの、どうなるの」――そう聞かれても、正直、答えは見えていませんでした。

この時期、私は「農業でどうやって子どもたちを育てていくか」「どうやって自分の経営を成り立たせるか」を必死に考えていました。そんな中で出会ったのが、一冊の本でした。

一冊の本が教えてくれた「商売とは何か」

当時まだインターネットが普及していなかった頃、たまたま書店で手に取ったのが、実業家・斎藤一人さんの本でした。

そこに書かれていたのは、「商売とはこういうものだ」というシンプルな原則でした。

当時、私がやっていたのは農業です。でも読み進めるうちに、「農業も商売なんだ」ということに気づき始めました。それが今から約25年前、私が32歳の時のことです。

本にはこう書かれていました。

商売でうまくいく方法は、お客様からお金をいただくこと。お客様に情報・物・サービスを提供して、お金をたくさんいただいた人がお金持ちになれる。

当たり前のことのようですが、当時の私には衝撃でした。そしてもう一つ、こう書かれていたのです。

あなたのお客様は誰ですか?

ここから、私の「商売としての農業」が始まりました。

最初の失敗:自分の都合で作っていた

当時、私はJAへの共同出荷をやめ、自分で売ろうとしました。しかしこれがなかなかうまくいきませんでした。

理由は明確です。お客様が何を求めているかを、あまり考えていなかったからです。

自分の都合で「これがいいですよ」と、自分の価値観だけで物を作り、お客さん(仲卸業者さん)に提供していました。値上げしたいと思っても「お客さんに悪いな」と、なんとなく気が引けてしまう。そんな時期でした。

そしてある時、「お客様のために頑張ろう」と頭の中を切り替えた瞬間から、あれよあれよという間に農業経営がうまくいくようになったのです。

商売から学ぶ農業成功法・3つの視点

このどん底の経験から、私が学んだ農業成功法は次の3つです。

① 売りたいものじゃなく、欲しいものを提供する

② 喜んでもらえることに喜びを見出す

③ 遠慮なく請求する

言葉にすると当たり前に見えますが、実際にやるのはとても難しいことです。①について、私自身の実体験をお話しします。

なす農家がほうれん草農家になった話

私はもともとナスを作っていました。しかしナスは契約栽培が非常に難しい作物です。「30ケースください」と言われても、収穫は朝収穫してみないと量が分からない。お客様の要望に量を合わせるのが本当に大変でした。

そんな中、いつもお世話になっている生活協同組合の担当さんが訪ねてきて、こう言いました。

「山下さん、今日はナスの話じゃないんです。実はほうれん草が欲しくて」

正直、最初はムカっとしました。「うちは夏場、ナスを作っているのに、なぜほうれん草を発注してくるんだ」と。

しかし担当さんは困っていました。「ほうれん草の注文をたくさん受けてしまって、供給してくれる農家さんがいないか」と。

結局、仕方なくハウスの隙間の畝に種をポロポロと巻いて、できたものを袋に詰めて納品しました。すると――

「ありがとうございます、助かりました!」

この一言が、私はとても嬉しかったのです。②の「喜んでもらえることに喜びを見出す」を、この時初めて実感しました。

そこから「もっとください」「どれだけでもください」と依頼が続き、ハウスの畝を使ってほうれん草を作り続けるうちに、いつの間にか私は「ほうれん草農家」になっていました。

技術も経験も少なかったのに、お客様が求めるものを提供し続けた結果、③の「遠慮なく請求する」も自然にできるようになりました。納品した分をきちんと請求する。月末には売上がしっかり入ってくる。この積み重ねが経営を安定させてくれたのです。

まとめ:お客様目線に立てば、農業は変わる

お客様とは、お金をくださる方です。

そのお客様が何を求めているのか、どんな状態にあるのかを知り、対応できる範囲でお応えしていく。これが、うまくいっている農家さんの共通点です。

私自身、農業をうまく軌道に乗せることができた答えは、「商売」から学んだことにありました。

「売りたいもの」ではなく「欲しいもの」を届けているか。ぜひ一度、ご自身の経営を振り返ってみてください。

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