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ブログ 2026.06.27

農業の解像度を上げる。私はいったい 何屋さん?

「私は農家だから」

「農家は作ることが仕事」

「だから、品質を上げることが使命」

これ自体は間違いじゃない。

でも、こういう言葉は
ほとんど聞いたことがありません。

「私は、青果物を届ける人間です」

「私は、青果業者のお困りごとを解決する人間です」

同じ農業をしていても、
自分の役割をどう定義するかで、
日々の判断も、取り組む方向性も、
そして結果も、全然違うものになってくる。

少し古いエピソードをご紹介します。

旅をしている人が、石を積んでいる職人の前を通りかかりました。

旅人は職人に声をかけます。「何をしているんですか?」

職人が三人いて、それぞれこう答えました。

最初の職人は言いました。「レンガを積んでいます」

次の職人は言いました。「壁を作っています」

三人目の職人は言いました。「みんながお祈りする、大聖堂を作っています」

画像

やっていることは全員同じです。

同じ場所で、
同じレンガを、
同じように積んでいる。

でも、自分の仕事をどう見ているか、
何のためにやっているかが、

まるで違う。

これは有名な話なので、
聞いたことがある方もいるかもしれません。
でも農業に当てはめて考えると、

すごくリアルに刺さってくる話だと思っています。

「私は野菜を作っています」

「私は農産物を提供しています」

「私は、ご家庭の食卓を支えています」

「私は、あの家族の健康を守っています」

どれも農業をしている人が
言える言葉ですが、
その人が見ている景色は全然違う。

そして訪れる未来も、きっと変わってくるんです。

ただ野菜を作っているだけでは、
他の農家と同じです。

品質、反収を上げようとする。
それ自体はいいことです。

でも、品質を上げたところで、
それが誰かに「違い」として伝わらなければ、
ただ手間とお金を溶かしているだけになってしまう。

闇雲に反収を増やしたところで
市場にあふれ、価格ば暴落してしまう。

市場に出せば価格は叩かれる。
スーパーに並べばロスが出る。

「うちの野菜は美味しい」
「うちの野菜は安全」

と言っても、

隣の農家も同じことを言っている。

これ、いわゆるレッドオーシャンです。

同じ土俵で同じことをやって、
お互いに「消耗」し合っている状態。

でも、
自分にしかできないことをやっている。
自分だけが提供できる価値がある。

そういう場所に立てると、

そこは

「ブルーオーシャン」になります。

では、自分にしかできないことって何か。

それを見つけるきっかけになるのが、
「自分は何屋さんか」という問いなんです。

つまり、あなたの働きによって
誰が悦んでいるか
誰が助かっているか
誰があなたに感謝しているか

私が農業をやっていた頃、
近く飛びぬけた感覚を持っている先輩がいました。

その先輩は、農場にほとんどいませんでした。
農家なのに、畑にいない。

売ることに専念していたんです。
作ることより、売ること。

そこに時間とエネルギーを注いでいた。

近所の人たちはこう言っていました。

「あいつは農家じゃない。商売人になった」
揶揄するような言い方でした。

でもその先輩は気にしませんでした。
自分のことを「納品屋」と呼んでいました。

欲しいという人に、
農産物を届けるのが自分の役目だと、
はっきり割り切っていたんです。

闇雲に作るのではなく、
求められている場所に、
求められているものを届ける。

たったそれだけのことを、
徹底してやり続けた。

結果として、
その先輩は多くの人に喜ばれて、
多くの財を成しました。

農場にいる時間は少なくても、
農業で大きな成果を出した人です。

「農家じゃない」と言われた先輩が、
農業で一番うまくいっていた。

これは何を意味しているか。

「農家らしくあること」と
「農業経営がうまくいくこと」は、
必ずしも同じじゃないということです。

農家らしく・・・
って、いったい何だろう?

「農家らしく」が農業の正解だと思い込んでいると、
視野が狭くなります。

先輩が自分は「納品屋」と言っていたように、
自分の役割を自分で定義できると、

やるべきことが見えてくる。
迷いが減る。

そして、その役割を果たすことに全力を注げるようになる。

改めて、聞いてみたいことがあります。

あなたは何屋さんですか?

どんなことで社会の役に立っていますか?

誰に悦ばれていますか?

自分の子どもに、
どんな仕事をしているか説明するとしたら、
何と言いますか?

「野菜を作っています」でも、
もちろん構いません。

でも、もう一歩踏み込んで考えてみてほしいんです。

「誰のために」やっているのか。

「誰の何を」解決しているのか。
「あなたのは働きで」
「誰の何に」

貢献できているのか、どう変わるのか。

この三つを言葉にできると、
自分の農業経営の軸ができてきます。
対象者が決まる。
伝えるべきことが決まる。
やるべきことと、やらなくていいことが

分かれてくる。

つまり、

農業の解像度がクリアになっていくのです。

レンガを積んでいる職人の話に戻りますが、
三人目の職人が特別に才能があったわけじゃない。
技術が優れていたわけでもない。

でも、自分が大聖堂を作っているという自覚があった。

その自覚が、
日々の仕事への向き合い方を変える。

細かいところへの意識が変わる。
人に語れる言葉が変わる。

そして、積み重なった先にある未来が変わってくる。

農業も同じだと思っています。

ただ野菜を作る人と、
誰かが悦んでくれる農業をしている人では、

同じ畑仕事でも中身が変わってくる。
その積み重ねが、数年後の経営の差になって出てきます。

「自分は何屋さんか」

これ、すぐに答えが出なくて当然です。
改めて聞かれると、

なかなか言葉にならない方がほとんどです。

でも、
その問いを持ち続けることが大事です。

畑仕事をしながら、
出荷の準備をしながら、
ぼんやりとでいいので考え続けてほしい。

ヒントになるのは、
お客さんや取引先からもらった言葉です。

「助かった」
「また頼みたい」
「あなたじゃないとダメなんだ」

そういう言葉の中に、
自分が提供している
本当の価値が隠れていることが多い。

もし今、
自分の農業経営の軸が
定まっていないと感じているなら、
まずこの問いから始めてみてください。

何屋さんか、整理してみたい。
誰かと一緒に考えてみたい。

そういう方には、農テラスの無料相談を使ってもらえると
一緒に考えることができます。

一人で悩むより、話してみると
思いのほか早く整理できることも多いので、
気軽に声をかけてみてください

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