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ブログ 2026.02.03
外国人労働者問題の先に、 僕たちはどんな農業と社会を描くのか
農家の脳を耕す農業講演家の山下弘幸です。
農業歴37年、稼げる農家を全国に誕生させるために
農業、農村、農家の課題と対策を分かりやすく解説しています。
今週のテーマは外国人労働者問題の先に、
僕たちはどんな農業と社会を描くのか
今回は農業の人手不足についてクローズアップします。

現在、衆議院選挙真っ只中ですね。
論戦、舌戦の中、
さまざまなテーマが議論されていますが、
その中でもにわかに注目を集めているのが
人手不足に伴う外国人労働者の受け入れについてです。
2月3日付日経新聞記事によると、
2040年には日本全体で約1100万人規模の労働力不足が見込まれているそうです。
この数字を前にすると、
「外国人労働者の受け入れは重要だ」という意見が出てくるのも、
ある意味では当然だと思います。
ただ、記事の中で投げかけられていた問いが、
私にはとても印象的でした。
外国人労働者の受け入れは、
もはや“選択肢”ではなく、
“前提条件”になってしまっているのではないか。
特に農業の現場にいると、
この感覚はかなりリアルです。
良いとか悪いとかを議論する以前に、
技能実習生や外国人労働者に頼らざるを得ない構造が、
すでに出来上がっている。
一方で、
メディアでは外国人労働者と思われる人たちの
無秩序な行動や、犯罪と受け取られかねない言動が
社会問題として報じられることも増えています。
ここに違和感や不安を覚える人がいるのも、
正直なところだと思います。
ただ、今本当に問われているのは、
「受け入れるか」「排除するか」
「賛成か」「反対か」
という二択の話ではないように感じています。
すでに共に生きていくことが前提になっている以上、
問題の本質はその先にあります。
労働力として受け入れたあと、
・教育
・医療
・社会保障
・日本語
・地域コミュニティ
・家族帯同
こうした部分の設計が、
まだ十分に整っていないこと。
実は、ここが一番の問題なのではないでしょうか。
議論の構図を見てみると、
・治安や秩序、日本らしさを重視する「規制強化派」
・経済が成り立たない現実を直視し、受け入れを進める「推進派」
この二項対立で語られることが多いように感じます。
どちらの主張にも、
それぞれ正しさはある。
でも、どちらか一方を選べば解決するほど、
話は単純ではありません。
そもそも、人手不足の根本原因はどこにあるのか。
農業が機械化・規模拡大してきた中で、
人手が足りなくなるのは、ある意味では必然です。
私が子どもの頃は、家族労働が基本で、
農繁期になると近所や親戚が自然と集まり、
互いに助け合っていました。
良し悪しは別として、農家の子どもは農繁期に学校を休んでも良かったのです。
でも今は、労働は分散し、
「臨時で手伝ってくれる人」がほとんどいない社会になりました。
農業が忙しいからといって、
誰かが自然に手伝いに来る時代ではありません。
食料を守るため、生産を拡大するためには、
どうしても人手が必要になる。
そこに外国人労働者が入ってきている、
という現実があります。
ここで少し、
私の「妄想」にお付き合いください。
私は昔から
「一億総農家説」
という考えを持っています。
日本の人口が約1.2億人、
農家はおよそ120万人。
単純計算すると、
1人の農家が100人の消費者を支えている構図です。
もし、その100人が
「自分はこの農家を支えている」
という意識を持てたらどうでしょうか。
実は20代の頃、ヨーロッパで農業研修をしていたとき、
フランスで出会った公務員の方から
こんな話を聞きました。
「本当はみんな農業をやりたい。
自分の口に入るものは、自分で作りたいと思っている。
でも私は教師だからできない。
だから代わりに農家さんに作ってもらっているんだ」
その方は、
農産物を“安く買いたい”とは
一度も言いませんでした。
「私たちができないことを代わりやってくれている。
だから玉ねぎが1個300円でも、ありがたい」
この感覚こそ、
私が言う「みんなが農家になる」ということです。
実際に畑に立たなくてもいい。
でも、自分も農家の一員だという意識を持つ。
もし、1人の農家に対して
100人の“メンバーシップ農家”がいて、
忙しい時期に有給を取って手伝いに来る。
そんな関係性が作れたら、
人手不足という言葉そのものが、
意味を失うかもしれません。
私はその一歩として、
「おかえり、ただいまプロジェクト」を
2025年にスタートしました。
一つの事例として、
熊本の農テラスメンバーであるお米農家がそれを実践しています。
「あなたの田んぼ、あなたのお米プロジェクト」と題し
都市部の消費者の方が田植えや稲刈りを体験できる自分の田んぼを持てるという企画です。
会費10万円なのですが50名限定があっという間に完売。。
5反の田んぼをみんなでシェアしているので、会員の人たちは田植えや稲刈りの時期になると有給を取って家族で手伝いに、わざわざ遠く離れた熊本までやってくるのです。
誰かが理想を描かない限り、
この人手不足の根本問題は、
ずっと先送りされたままだと思うのです。
外国人労働者を
受け入れる・受け入れない
規制する・しない
その議論は、もちろん大事です。
受け入れるなら、
責任をもって制度を整える必要がある。
排除すれば、
目の前の経済は確実に回らなくなる。
だからこそ、
この議論と同時に、もっと根本的な道筋も
一緒に描いてほしい。
最後に、少しだけ本音を言うと。
ブルーカラーや現場の仕事を、
「自分たちはやらないもの」として切り離し、
機械や外国人に任せる。その発想自体が、
今の行き詰まりを生んでいる気もします。
みんなが、少しずつでも「農の現場」で「働く側」になったら。
みんなが、少しずつでも「支える側」になったら。
意外と、
この問題はあっさり解けるのかもしれません。
……という、
山下の妄想に最後までお付き合いいただき、
ありがとうございました。
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