こんにちは。全国で講演、セミナー研修など行っている

農業講演家の山下弘幸（やましたひろゆき）です。

農業歴35年。親元就農後、個人、法人の農業経営を経て

農業コンサルタントに転身し、

現在、新規農業者、若手農業者、企業農業参入支援などをしています。

具体的には、稼げる農業を実現する

”１歩先行く農業者”のオンラインコミュニティ

「農業ビジネススクール（農ビジ会）」を主催し

全国200名の農業者と毎月勉強会や情報交流を行っています。

また、定期的に更新しているyoutube（農テラスチャンネル）では

全国の農業者へ「農業経営・農業ビジネス」の最新情報をお届けしています。

 

さて、今回の山下弘幸農ビジコラムテーマは

農家の第3フェーズとは

 

農業経営には３つの段階があるって知っていましたか？

実は農業ビジネスの成長は、「仕組みづくり」をどれだけしっかりと進めるか

で大きく変わってきます。今日はその農業経営の３段階について簡単にお伝えします。

 

まず【第１フェーズ】は「つつがなく物・金・人が回る仕組み」を作る段階。

これは農業の基本であり、スタート地点です。

 

第１フェーズ

・つつがなくモノができる仕組み

・つつがなくカネが入る仕組み

・つつがなくヒトが働く仕組み

 

「まず作れること」「作ったものが売れてお金になること」「必要な人手が確保できること」の3つを整えることが目標です。

 

例えば、生産技術を学びながら安定的に農産物を収穫する仕組みを作ること。さらに収穫した農産物を市場や農協に出荷することで、確実にお金が入る仕組みを整えること。そして、家族や周囲の人が自然に手伝ってくれる体制を作ること。これが整えば、経営の第１フェーズはクリアです。

私も最初はとにかく「作る」ことから始めました。つつがなく作れる（出来る）ようになるには結局は「土づくり」が基本になります。

そしてつつがなくカネに変える仕組みはJA共販で成り立っていたのですが、

市場価格が安値安定になり始めたのでいよいよ第２フェーズに入りました。

次の第２フェーズでは「さらに安定した仕組み」を目指します。

 

第２フェーズ

・つつがなく供給できる仕組み

・つつがなく利益が出る仕組み

・つつがなく働かせる仕組み

 

ここでは「安定して供給する仕組み」「利益がきちんと出る仕組み」「従業員を上手に働かせる仕組み」がポイント。

 

例えば、季節や天候に左右されずに顧客の需要に応え続ける仕組みづくりが必要です。また、ただ売上を上げるだけでなく、きちんと手元に利益が残るようにコストを見直し、効率的な経営を目指します。さらに従業員が効率よく働ける環境を整えることで、自分が常に現場にいなくても回る仕組みを作っていきます。

 

第２フェーズではつつがなく供給できることがポイントになりますが、

これは契約栽培など相対取引を始める時に不可欠な仕組みです。

ただ、相対取引は納品する「価格」が決まってしまいますので、市場相場上がることで利益を得る方法ではなく、経費を抑えることで利益を得るステージ変わります。

と同時につつがなく供給するためにマンパワーだけでない「働いてくれる人」が必要になります。

 

これらを満たすためには「つつがなく売れること」

そのためにいよいよ第３フェーズに入っていきます。

 

第３フェーズ

・つつがなく売れる仕組み

・つつがなくカネが増える仕組み

・つつがなく任せられる仕組み

 

最終段階、第３フェーズはまさに農業経営の理想形です。

「商品が自然に売れていく仕組み」「お金が自動的に増えていく仕組み」「自分以外の誰かに任せられる仕組み」を築くことです。

 

第３フェーズに到達すると、お客様の方から「また買わせてください」と声がかかり、農産物が安定的に売れ続けます。さらに利益が自然と増えていくため、経営が安定し、自分自身は経営の舵取りや次のステップに集中できるようになります。

任せることができる体制も整うので、自分の時間が増え、次の挑戦に時間や労力を割けるようになります。

 

この３つのフェーズを意識しながら取り組むことで、あなたの農業経営は間違いなく成長していきます。

 

ただ、次のフェーズに移行する際大きな不安に襲われます。

なぜなら新しいゾーン（世界）へ入っていくからです。

多くの農家はこれを躊躇します。

 

この３段階のステップは

アオムシがサナギとなりやがて蝶となって羽ばたくことができるようなもの。

ですが、人は変化を怖がります。

 

また、現状維持バイアスという現状を変えることを嫌がる傾向があります。

ただ、変化を恐れていては成長できません。

勇気をもって一歩一歩確実に進んでいきましょう。

 

まとめ

このように農業経営は「仕組みづくり」で決まります。

農業はこの３つのフェーズを何年かけて作り上げることができるかのゲームです。

私はこの３つのフェーズを１５年かけて作り上げました。

どうしても１つのフェーズに５年はかかります。

 

現在、伴奏支援させていただいている農テラス会員のメンバーも５年単位で

フェーズを変えていくようにしています。

 

あなたもぜひ、この３段階のステップを意識して、

安定した経営を目指してください。

 

付録：チェックリスト

私は今どの段階？にいるのだろう？

何の仕組みを作っている段階かチェックしてみてくださいね。

 

第１フェーズ→「モノ（収量・品質）が出来ることを目指している段階」

第２フェーズ→「カネ（利益・所得）が残ることを目指している段階」

第３フェーズ→「時間（余裕・定期的な休暇）がとれることを目指している段階」

 

今回の内容は動画でも解説しています。

 

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