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コラム 2020.06.13
【農業コラム】若手農家の「壁」
現在私が執筆させていただいております
熊本日日新聞 夕刊 「一筆」に連載中のコラムをお届けします 6月12日付
若手農家の「壁」
「今はまだ、おやじがやっているから自分のやりたいようにはできないんです」。
私が開催する農業ビジネスセミナーに参加する若手農家さんに一番多い悩みが、
「事業承継」についてです。
おやじが経営を譲ってくれない、だから自分のやりたいようにできない。
そういう悩みです。
農業は家族経営が多く、親から子へと事業が引き継がれます。
その事業主が全ての権限を持っているので、たとえ息子が新しい事に挑戦したいと言っても、
親から却下されればできません。農業は自由で自分の思い通りになる職業だと思われがちですが、
全く逆で、親がいる間は思い通りにならない不自由な面が多いのです。
そこで、若手農家にはこう言います。「本気で農業をやりたいのなら、経営を奪い取れ」と。
そういう私は27歳で親から経営権を奪いました。父は当時まだ55歳の働き盛りで、当然けんかになりました。
それでも、自分の人生やりたい事をやるんだという強い思いでぶつかりました。
結果、父は「おまえがそこまで言うのなら」と私に経営を譲り、雇用される側の社員となって協力してくれたのです。
経営は1分1秒でも早く始めた方が有利です。なぜなら、どれだけ経営学を学ぼうと、
セミナーを受講しようと、実際に経営をやらないと身に付かないからです。
本気で農業をやる気なら、「親に経営を譲ってもらう」ではなく、
「親から経営を奪う」くらいの気持ちが必要です。
親の存在こそ、若手農家が乗り越えるべき最大の「壁」なのです。