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ブログ 2026.09.05
「法人化しなくていい」と言っていた僕が考えを変えた本当の理由
脳を耕す農業経営戦略家の山下弘幸です。
農業コンサルとして3000件以上の相談を受けてきた中で、正直に言うと僕はずっと「小さい規模なら法人化しなくていい」と言い続けてきました。
ここ最近、その考えが少しずつ変わってきました。きっかけは、ある求人募集を見たときのことです。
「時給1,500円」だけでは伝わらないもの
週3日、年間8ヶ月で35万円ー。この条件だけを見ると、正直ちょっと身構えてしまう金額です。「本当に大丈夫かな」と疑いたくなる人もいるかもしれません。
でも、同じ条件でも「株式会社フルさあ農園」という名前が入った瞬間、印象が変わることに気づきました。同じ金額、同じ条件なのに、法人格があるかないかで「怪しさ」と「信頼性」が逆転するーそんな場面を実際に見てきました。
昔は個人事業のほうが現金が残りやすいという理由で、法人化を積極的に勧めていませんでした。実際、小さい規模の事業では、法人税と個人の所得税の両方がかかってくる分、税制的にはむしろ合わないケースが多いのも事実です。
会社を分けるという発想
同時に、経費計上の幅が個人と法人でまったく違うことにも改めて気づかされました。

法人だと交際費として計上できる範囲が広がります。利益が出ていなければ、法人税はごくわずかで済むケースもあります。
僕自身、昔から「勉強のために自分の会社を作っておく」ということをしてきました。都合のいいところだけ会社の名義を使う、いわば二重人格的な発想です。ただし、会社名義にした車などは、万が一会社が立ち行かなくなったときに差し押さえの対象になる、というリスクもセットで理解しておく必要があります。
古沢さんの農地とロイヤリティの話
ある農家の古沢さんの事例も印象的でした。古沢さんの農地を、トラクターなどの資産とセットで法人が使わせてもらう形にしたところ、月々の使用料として法人からお金が入ってくる仕組みができました。
結果として、もともと400万円だった収入が、ロイヤリティ収入が加わることで500万円になるー。こうした形は、税金を払うか、経費として払うかの選択肢を増やしてくれることにも気づかされました。
ここで面白いのは、「税金を払わずに済んだ」ことがそのまま「得をした」とは限らない、という点です。経費として計上する分が増えれば、その分だけ手元に残る現金の増え方は緩やかになります。税金を減らすことと、実際に儲かっていく実感とは、必ずしも同じスピードでは進まないー。このバランス感覚も、法人という形を持つことで見えてくるものだと感じています。

求人という場面で見えてきたこと
そして今、僕がいちばん実感しているのは「採用の場面」での法人格の意味です。
これから従業員という立場の人を雇っていく事業体を考えたとき、求職者側から見て法人格があるかないかは、想像以上に見られています。同じ条件でも、法人という形があるだけで受け取られ方が変わるー。そんな場面を何度も目にしてきました。
考え方が変わった、それだけの話
規模が小さいうちは法人化しなくていい、という考えは今でも間違っていないと思っています。ただ、これから人を雇っていく、事業として育てていく段階に入るなら、法人格という「見え方」が持つ力は無視できないなと感じるようになりました。
若手農業者向けのスクールでは、今は基本的に法人化をお勧めするようになりました。これは僕の中でのちょっとした発見です。
もし法人化のタイミングや、経費・節税の考え方について相談したい方がいれば、農テラスの無料相談で一緒に整理してみませんか。農ビジ会でも、こうした経営の話を仲間と共有できます。
農業界を明るく照らす農テラス
今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう!