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ブログ 2026.07.19
今、農家に起きている地殻変動
農業を取り巻く社会が、静かに、でも確実に変わっています
今日は「稼ぐ農家になる講座」から少し視点を変えて、俯瞰的に社会全体の動きを見ていきたいと思います。
自分が今どんな状況に置かれているのか。 社会や世界がどう変わっているのか。
これをキャッチアップした上で判断・決断・実行していく。 これが事業を続けていく上でとても大切だと、37年間農業に携わってきて感じています。
20代の自分は、世の中がまったく見えていなかった
正直に言うと、私が20代の頃、世の中の動きなんてまったく見えていませんでした。
見えていたのは、自分のごく近い範囲だけ。 狭い地域で育ち、狭い農業社会で生き、親も祖父母も農家。農業しか知らない自分は、世の中のことをあまりにも知らなすぎたんです。
農業大学でも「いいものを作れ」「農家は一生懸命おいしいものを作ればいい」と教わるばかりで、社会の動きやこれからのトレンドが話題になることはほとんどありませんでした。
その環境に、正直ちょっと息苦しさを感じていました。
だからこそ、農業の枠から一歩外に出て、いろんな社会を見る癖をつけてきました。 今日はその視点から見えてきた「農業を取り巻く社会の急変」について、皆さんにお伝えしたいと思います。
戦後80年、そしてその前の160年
日本は戦後、大きく変わり続けてきました。
さらに遡ると、160年前の明治維新で江戸幕府が崩壊し、まったく新しい西洋文明・富国強兵の道を歩み始め、いくつもの戦争を経て1945年の終戦を迎えました。
こうして社会が変わるたびに、人々の価値観も変わっていきました。
農業の現場に目を向けても、肥料や資材の価格は高止まりしたまま。原油価格はやや落ち着きましたが、インフレの流れは変わりません。消費税や政治の力関係も変化し続けています。
そして気候。私がいる九州・熊本でもゲリラ豪雨や台風の頻発、猛暑日の増加を肌で感じています。ヨーロッパでも記録的な猛暑が続き、これまでにない異常事態が起きています。
こうした中で「AI」や「植物工場」という言葉が話題になっていますが、「自分の経営にどう当てはめればいいのか、いまいちピンとこない」という方も多いのではないでしょうか。
今日は、押さえておくべき3つのポイントに整理してお話しします。
国の成長17分野に”農業”はない

ポイント①:植物工場・フードテックへの本格投資
高市政権は「失われた30年を取り戻す」として、成長分野に投資していく17分野を掲げています。
実はこの17分野に「農業」は入っていません。
では何が入っているかというと「食料安保」という項目です。 この中で、フードテックや植物工場への投資が明記されています。
これまで植物工場は「コストが高すぎる」「レタス1個500円は無理」と言われ、あまり力が入れられてきませんでした。理由の一つは、これが盛んになると農地を使う農業から人が流れてしまうという事情もあったからです。
しかし国は今、いよいよここに本腰を入れ始めています。 「万が一のときに国内で食に困らないように」という食料安保の観点から、植物工場への投資が国策として進んでいるのです。
ポイント②:リジェネラティブ農業という世界的潮流
2つ目は「リジェネラティブ農業(再生農業)」です。
これはSDGsや脱炭素といった次元の話ではなく、「土が本来持っているポテンシャルを再生しよう」という地球規模の運動です。
戦後、特に欧米諸国では化学肥料を大量投入することで土を痩せさせてきました。その土を本来の状態に戻そうという動きが、今、世界的なトレンドになっています。
ポイント③:食料・農業・農村基本法の転換
3つ目は国内の話です。
農業の憲法とも言われるこの基本法は、1945年の戦後から改定を重ねてきました。もともとのベースは「農家保護」でした。戦後の食料難の中で大量生産を促し、それを支えるために農家をどんどん応援する、という流れです。
ところが今は違います。 分かりやすく言うと「農家を守る」という文言が薄れ、「食料・農業・農村を守る」という表現に変わってきているのです。

これは植物工場の推進とも根っこでつながっています。農林水産省が直接的に植物工場を推進しているわけではありませんが、考え方の大きな流れとしては同じ方向を向いています。
では、私たち農家は何を考えればいいのか
ここまで聞くと「もう自分たち農家は当てにされていないのか」と不安になるかもしれません。
そうではありません。
農業者という存在の希少価値は、間違いなく高まっていきます。
ただし、これまでのように「みんなで支え合いましょう」という社会ではなくなっているのも事実です。農家は減っていく。これを前提とした上で、これまでとは違う経営スタイルがどんどん生まれてきています。
国も「農家を守ること」の重要性は十分理解した上で、さらに視野を広げて「農をどう守るか」「農業をどう守るか」「そもそも食料をどう確保するか」というフェーズで議論を進めています。
世界では、80億人が90億人、100億人へと向かう人口爆発に対して、土のポテンシャルを再生していこうという動きが本格化しています。
この大きな流れの中で、自分の経営をどう位置づけていくか。 これを考え続けることが、これからの時代を生き抜く農家経営者にとって欠かせない視点になります。
このあたりの「これからの経営をどう組み立てるか」については、農ビジ会の中でも継続してお伝えしています。
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