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ブログ 2025.07.10
売れる農家になるために、いま“マーケティング”を知ろう
こんにちは。全国で講演、セミナー研修など行っている
農業講演家の山下弘幸(やましたひろゆき)です。
農業歴35年。親元就農後、個人、法人の農業経営を経て
農業コンサルタントに転身し、
現在、新規農業者、若手農業者、企業農業参入支援などをしています。
具体的には、稼げる農業を実現する
”1歩先行く農業者”のオンラインコミュニティ
「農業ビジネススクール(農ビジ会)」を主催し
全国200名の農業者と毎月勉強会や情報交流を行っています。
また、定期的に更新しているyoutube(農テラスチャンネル)では
全国の農業者へ「農業経営・農業ビジネス」の最新情報をお届けしています。
さて、今回の山下弘幸農ビジコラムテーマは
売れる農家になるために、いま“マーケティング”を知ろう
今日はいつもよりちょっと真面目に、でも超大事な話をします。
内容は「マーケティングって何?」です。
「うちは農協や市場に出してるし、関係ない」
そう思った方、いませんか?
でも実は、それこそが日本の農業が変われない理由の一つなんです。
今回は、“売る力”を手に入れる第一歩として、セールスとマーケティングの違いから一緒に考えてみましょう。
セールスとマーケティングの違い、知ってますか?
まずセールスとは「売ること」。
「うちのスイカ、糖度15度あります!」と一生懸命伝えて買ってもらう行為ですね。
一方、マーケティングは「売れる仕組みをつくること」。
売り込まなくても自然に買ってもらえる状態を整えることです。
たとえば、北海道の寺坂農園さん。
「北海道旅行の思い出にメロンを買いたい」という人向けに、自宅配送の仕組みを作ったんです。
ここで売っているのは、“メロン”ではなく“思い出”なんですね。
もうお気づきでしょう。
売ろうとするより、「欲しがっている人の気持ちに寄り添う」方が自然と売れるんです。
農家は“換金業”から脱皮せよ
これまでの農業は、作ったら市場や農協に出すことで現金になる。
つまり、「換金志向」が主流でした。農協=換金所とも言えます。
価格は需要と供給で決まるから、努力しても報われないことが多い。
いいモノを作っても「売れないことがある」。
逆にたいして良くなくても「売れることもある」。
これは、農家のプライドも努力も、まったく反映されない構造です。
実際、昨年の“米騒動”がそれを象徴していました。
30年間報われなかった米価が、「米が足りない」という情報だけで、いきなり倍の価格になった。
努力でなく、タイミングと供給で価値が決まる。
だからこそ、農家には“売れる力”、つまりマーケティング思考が必要なんです。
「品質で勝負」に限界が来ている
農家がもうひとつ知っておくべき大事なことがあります。
それは、「品質の差だけで価格差を生むのは限界がある」ということ。
お米をはじめ多くの農産物は、技術と研究の成果で一定の品質水準に到達しています。
言い換えれば、「どれを選んでもそこそこ美味い時代」。
なのに、今も「品質を磨けば高く売れる」という幻想を持ち続けていませんか?
私はそこに、ずっと疑問を抱いてきました。
品質競争に頼る時代は終わりつつあります。
これからは「価値をどう伝えるか」。
つまり、マーケティングの力が試される時代です。
ニーズじゃなく、ウォンツに応えよう
マーケティングの最初の一歩は「お客様の声に耳を傾けること」です。
でも、それは「言われたことをそのままやる」ことではありません。
例があります。
お皿メーカーが主婦30人にアンケートをとったら、「四角いストライプ柄がいい」と答えました。
でも実際、配布用に並べたお皿の中から皆が持って帰ったのは「丸い白い皿」だった。
なぜか?「使いやすいから」
言葉と行動は違う。
人は“本当に欲しいもの”を言葉にできないことが多い。
だからこそ、私たちが見るべきは「表面の言葉」ではなく「奥にある感情=ウォンツ」です。
高価格市場と低価格市場を見極めよう
私たちのお客様って、誰なんでしょう?
本当に売るべき相手、考えたことありますか?
安さを求める人が集まる直売所やスーパーは「低価格市場」です。
いくら良いモノを作っても、価格は上がらない。
残念ながら、多くの農産物はここに流れていきます。
一方、私はかつて代官山のイタリアンシェフにナスを1本300円で販売しました。
市場に出していたら1本30円の時代です。これが「高価格市場」。
価値を磨いているなら、価値が伝わる市場に持っていかなければ意味がありません。
逆に、安い市場で売るなら「原価を磨く」=コストを下げる努力が必要です。
買い手の立場に立ってみる
私は一時期、他の農家から仕入れて販売していました。
でもこれがめちゃくちゃ大変でした。
お客様が「10玉ほしい」と言っているのに「あと3日待て」と言われる。
「今欲しい」って言ってるのに「今じゃまだ完熟じゃない」って返される。
いやいや、今の品質で十分なんですよ。
最高品質じゃなくていい、今納品しないと棚に並ばないんです。
この経験から、「自分も自分都合でしか物事を考えてなかった」と気づかされました。
売る力をつけたいなら、一度は“買い手側”に立つことをおすすめします。
マーケティングは“思いやり”
難しく聞こえるかもしれませんが、マーケティングとは「思いやり」です。
「誰に」「どうやって」「どんな価値を届けるか」
これを徹底的に考えることなんです。
相手の困りごとや期待に寄り添う。
品質だけじゃなく、タイミング、関係性、感情までを設計する。
それができる農家が、“選ばれる農家”“売れる農家”になる。
農業がもっと楽しく、やりがいのある仕事になる。
だから、いまここでマーケティング思考に目を向けてください。
脱・換金農業。脱・セールス農家。
これからは、“売れる仕組み”を持った農業者が時代の主役になります。
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