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お知らせ 2020.01.18

くまもと農業経営塾 第8講 マーケティング・ブランディング

若手農業者に夢を持ってもらうのに一番良いのは

成功している農業経営者から話を聞くことである。

 

今回のくまもと農業経営塾ではゲスト講師として

二人の農業経営者の方に講義をお願いしました。

 

世界ブランドを目指すASOMILKでおなじみの「阿部牧場」の阿部社長

そして 百姓が興した農業ベンチャー企業「くしまアオイファーム」の池田社長

 

いずれも農業者として、また経営者として成功されている方で

私もとても尊敬している方々です。

 

今回は意識の高い若手農業者が学ぶ農業経営塾であるということで

お忙しい中、講義をしていただきました。

 

内容があまりに素晴らしかったのでダイジェストをお伝えいたします。

 

~世界を見据えたブランディング~

阿部牧場の阿部社長は純正の阿蘇で育まれたミルクを世界に広めたいという“思い“で

「阿蘇産」と「品質」にこだわった。

 

 

しかし、酪農家ができることは生乳まで。牛乳にするにはプラントを持つ乳業メーカーに

委託しなければならない。それじゃ、自分でプラントを作ろうと決意。

 

そして3年かけて自社プラントを立ち上げた。

 

ここまででもその行動力と実行力がすごいのだが、

阿部社長がすごいのはここからである。

 

最初から「世界一」にふさわしいパッケージ(商品の顔)にこだわったのである。

 

一発でその牛乳が他の牛乳とは違うことがわかるように。

誰にも負けない自信のある牛乳が見えるように。

あえて瓶に充填し、ロゴは世界で通じるシンプルかつインパクトがあるものに。

 

そう、皆さんご存じのあの「ASOMILK」のデザインです。

 

私も最初に店頭でこの牛乳瓶を見たときは衝撃的でした。

なんて斬新なデザインなんだろうって。

 

そしてその牛乳が阿部さんの牛乳だと知ったとき「さすがだと」、

日本の農業が変わるって感じた瞬間でした。

 

そしてそのデザインは2011年には世界的なパッケージデザイン賞「Pentawards2011」の食品デイリープロダクト部門において最高賞となる「GOLDAWARD」を受賞した。

 

しかし、このデザインは阿部社長が最初から世界を視野に入れて考えていたもの。

決して偶然受賞したわけではない。

 

今の農業界で「こだわっている」農家は山ほどいるが

これほど計算された戦略的な「パッケージ」にこだわっている農家はいない。

 

このパッケージについて阿部社長はこう話す。

 

「だって、世界一のミルクには世界一のドレスを着せてあげたいじゃないですか」

 

もちろん、ASOMILIKは

日本で初、食品のミシュランガイドと称されるiTQi(国際味覚審査機構)で、最高ランク三ツ星も受賞している。

 

どうやったら阿部さんみたいに「突破」できるんでしょうか?

 

「こんな風になるって言い続けていたらなるんじゃないかなー」って

にこやかに笑いながら淡々と語られるが、

 

世界を視野に挑戦し続けている阿部社長はもうすでに次を見据えていた。

 

ASO MILKの新たな挑戦として阿蘇を元気にするプロジェクトがスタートさせている。

https://asocheese.com/

 

 

~海外戦略、販売戦略~

 

世界を見据えた農業経営者として

くしまアオイファームの池田社長は群を抜いている。

 

 

池田社長は

普通の平均的な個人経営から数年で売り上げを50倍にしている奇跡の農家である。

 

よく、「企業的農業を目指す」なんて言っている農家や農業法人は多いが

実践し、結果を出しているところは以外と少ない。

 

その企業的農業を実践し、結果を出しているのが「くしまアオイファーム」の池田社長だ。

 

私が池田社長と最初に出会ったとき、衝撃を受けたことを覚えている。

 

「同世代でこんなにすごい人がいたんだ」って。

 

どうしても我々世代は昔の農業を引きづっている。

昔の農業とは保守的で閉鎖的で横並びを良しとする変化を嫌う農業のことである。

 

だから農業が盛んな田舎の地域では長いもの巻かれる農業を選択するのが主流だ。

私の周りも大半がそれである。

 

しかし、池田社長は違った。会社を作り、地域の人を雇い、大型の貯蔵庫を建てるなど

どんどん設備投資し甘藷を大量に輸出し始めたのだ。

 

いまだに農協を離脱するだけでも一大事の閉鎖的な農村で

農協を離れ、自分で会社を興し、自ら貯蔵庫を建てさらにそれを輸出するなんて・・・

 

フツーの人から見れば立派な中小企業ですね。で終わる話ですが、

農村社会においては

かなり変わったことをしているという風にみられます。

 

そして、いろんなところからの圧力、いやがらせ、妬み嫉みがあるのも農村社会の

悪習で、

 

池田社長もかなりバッシングに合われています。

しかし、

閉鎖的な地域で味わった悔しい思いが原動力となったからこそ

家族経営からの日本有数の農業企業に成長したのではないかとみています。

 

そして今ではその地域を活性化させるために奔走されています。

 

つまり

「出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打てない」を実践された方なんです。

 

 

とは言え

新しいことに挑戦するには「勇気」がいります。

 

この勇気がなければ「はじめの1歩が踏み出せません」

 

ですから

成功している人の話を聞くと誰もが思うんです。

 

「俺もそんな風にやりたいんだけど、○○○○がな~」って

 

しかし、池田社長は受講生にこう語ります。

 

「農業者が自立しなきゃいけない、甘えてはいけない」

「地域貢献は当然で、常に地域から見られているんだ」

 

言い訳ばかりが先行し、波風立てずに自分が本当にやりたいことを封印して

あいつが悪い、こいつがどうだ、高く売れないのは相場安いから仕方がない、お金がないからやっていけないなどなど・・・

 

できない理由にばかりフォーカスして

どうすればできるか、どうすればやれるのかを考えない。

 

そういった人たちにこうメッセージをくれました。

 

「モテる大人になれ」

 

異性だけじゃない、すべての人間に。人のことを悪く言う人、人のせいにする人は一生モテません。~中略~

性別なんて、年齢なんて、障害なんて、才能なんて関係ないよ。まずは自分を信じて実践すること。必ずできる。そして出来たら、それを人にやさしく教えること。威風堂々。頼れるやつになりたいね。~後略~

 

ぐっとくるメッセージですね。

 

もちろん、池田社長自身も、モテる大人を実践するために社員から担ぎやすい、担がれる社長であることを意識されています。

 

私が思う「企業的農業」って池田社長のように

自己責任で挑戦し続けること。

 

そして社員を大事にして、地域を大事にして、契約農家さんを大事にして、取引先を大事にして・・・

 

モテる大人になることじゃないかな~って

 

まさに、

近江商人の「3方よし」ならぬ、「4方よし」、「5方よし」ですね。

 

これまで池田社長は

農林水産大臣賞をはじめ数々の賞を受賞され、今ではサツマイモ輸出シェアは国内最大規模の企業にまで成長させました。

 

しかし、まだまだ先を見続けておられます。

「強い農業はこえていく」

 

おそらく日本の農業界を変える人になるでしょう。

 

今回、二人の経営者にお越しいただきましたが

 

お二人の共通するところはとても多く、この話は、また別の機会にいたしますが、

受講性に勇気を与えてくれたことは間違いありません。

受講生も残すところあと1回で卒塾です。

 

塾生の中から第2の阿部社長、池田社長のような素晴らしい経営者が

誕生することを期待しています。

 

そして私ももっと農業人財の育成に力を注ぎたいと思います。

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