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ブログ 2026.09.21
農業が儲からない本当の理由、見えてきたこと
こんにちは。
脳を耕す農業経営戦略家の山下弘幸です。
久しぶりにYouTube農業大学を再開して、改めて考えたことがあります。
「農業はなぜ儲からないのか」
これ、僕自身37年間農業に関わってきて、ずっと引っかかっていたテーマです。今回、あるエピソードを思い出して、ようやく構造が腹落ちしました。
経団連会長が農場で聞いた、たった一つの質問
以前、茨城県で大きな農業法人を経営している友人のところに、トヨタの元社長で経団連会長も務められた方が視察に来たことがあります。
経済界のトップが、わざわざ農場を見に来る。それだけでもすごいことなんですが、その方が友人にこう聞いたそうです。
「農業って、誰が出荷調整してるんですか?」
この質問、最初に聞いたとき正直ピンときませんでした。でも考えれば考えるほど、核心を突いた質問だったとわかってきました。
自動車業界なら、需要と供給を見ながら生産台数を調整します。作りすぎれば値崩れするから、当然です。
でも農業には、それがない。基本的に「作れるだけ作る」世界です。
【図解1】

「安いのが正義」という消費者心理が生む構造
ではなぜ、出荷調整という発想が根付かなかったのか。
理由を辿っていくと、消費者が「高いのは困る」と思っていることに突き当たります。
キャベツが高いと困る。お米が高いと困る。これは僕たちも消費者として、同じ感覚を持っています。
高度経済成長期、パナソニックの松下幸之助さんは「蛇口をひねれば水が出るように」大量生産・低価格を目指しました。おかげで暮らしは豊かになった。この成功体験が、農産物にもそのまま重なっているんだと気づきました。
政府も、国民が困るくらいなら輸入に頼る方向を選びます。政府にとっては、国民からの支持のほうが優先順位が高い。これは責めるようなことではなく、そういう力学があるという話です。
結果として、農業は「大量に作らせて、安く売る」構造に組み込まれていきます。
儲かった瞬間に、資材費が上がる仕組み
さらにもう一段、厄介な仕組みがあります。
農業が儲かり始めると、トラクターや肥料、農薬といった資材の値段が上がっていく。儲かっていない時期でも資材費は上がっていくのですが、儲かるとなおさら上がる。これが高度経済成長期に実際に起きたことです。
利幅が減れば、当然「もうやめよう」という農家が増えます。離農が進む。
すると農産物の値段が上がるかというと、そうはならない。「農家がやめるなら、輸入すればいい」という話になっていくからです。
食料安全保障の観点から、多くの国は農産物の輸入解禁に神経を使います。自国の農業が弱体化するリスクがあるからです。ところが日本の場合、国民が困るくらいなら輸入するという判断に傾きやすい。これも、誰かが悪いという話ではなく、そういう構造になっているというだけのことです。
【図解2】

それでも、儲かる仕組みは作れる
ここまでの話、正直シビアです。「当たり前にやっていたら儲からない」というのが、農業の出発点なんだと思います。
でも、だからこそ見えてくることがあります。
儲かる農業をやっている人たちが実際にやっているのは、シンプルに言うと「安く作る工夫」です。中でも反収(単位面積あたりの収量)を上げることは、コストパフォーマンスに直結します。
僕自身、スイカからナス、ホウレンソウへと作物を変えてきた中で、この「工夫の積み重ね」でしか状況は変わらないと痛感してきました。32歳のとき、僕は借金を抱えて底を経験しました。そこから這い上がれたのは、補助金に頼るのではなく、自分たちで儲かる仕組みを作ろうと決めたからです。
政府に頼るのが嫌なら、自分で仕組みを作るしかない。これは規範ではなく、僕自身が体験してわかってきた、シンプルな事実です。
農業界を一緒に照らしましょう
こういう構造の話や、儲かる仕組みづくりのヒントは、農ビジ会という勉強会で毎月お伝えしています。月1回のノービジセミナーや、オンラインでの交流会も開催中です。
もしよければ、無料相談も受け付けていますので、気になった方はお気軽にご連絡ください。
農業界を明るく照らす農テラス
今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう!