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ブログ 2026.08.28
物価高でも儲からない農家の正体
『メリハリ消費』という壁の越え方
景気はいいのに、農産物の値段だけ動かない
こんにちは。脳を耕す農業講演家の山下弘幸です。
最近、世の中を見ていると「景気は悪くないな」と感じることが増えました。
物の値段はじわじわ上がっていて、給料も上がってきているというニュースをよく耳にします。農業界にもいずれこの波はタイムラグで来るはずです。これは僕の予想ですが、農産物の価格も遅かれ早かれ上がっていくと見ています。
ただ、ここでちょっと残念な話があります。
物価が上がるからといって、農産物の価格が同じように上がるかというと、実はそう単純ではないんです。
なぜか。「メリハリ消費」という現象
節約志向が根強く残っているからです。
生活の質は上げたい。でも、日々の出費はできるだけ抑えたい。これが今の消費者の本音のようです。
そのため、消費行動に「メリハリ」がつきます。
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どうしても欲しいもの:多少高くても買う
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別になくても困らないもの:とにかく安く済ませたい
この「別になくても困らないもの」に分類されてしまった商品を、僕は「コモディティ品(日用品)」と呼んでいます。100均で売っているようなもので、300円出すくらいなら100円のものでいい、という世界です。
一方で「これしかない」「これじゃなきゃダメ」と思わせるものは「満足品」と呼ばれ、多少高くても売れていきます。パンを美味しく焼くためだけのトースター、目玉焼き専用の焼き型のようなものです。一見ムダに思えるのに、意外と売れる。
農産物は、この2つのどちらに分類されているのか。これが値段に直結してきます。

値段を上げる前に、確認したい3つの視点
「いいものを作れば高く売れる」「付加価値をつければ高くなる」という話をよく聞きます。
正直に言うと、僕自身、長年生鮮品を作ってきた中で、これがそのまま成立した経験はあまりありません。だからこそ、値上げを考える前に、次の3つを一度立ち止まって見てみる必要があると思っています。
1. そもそも、その値段は上げられるものか
いい肥料を使った、味が良くなった、品質にこだわった――それ自体は素晴らしいことです。ただ、それが「値段を上げていい理由」になるかどうかは別の話です。
2. その価値は、お客さんにちゃんと伝わっているか
伝えたつもりでも、伝わっていなければ意味がありません。そして伝わったとしても、「じゃあ100円のものを300円で買います」というところまで行き着くかどうかは、また別のハードルです。
3. 自分の商品は、日用品なのか満足品なのか
ここが一番大きいかもしれません。同じような商品が世の中にあふれていれば、それは自然と「日用品」として扱われ、値段は上げにくくなります。
頑張れば報われる、とは限らない
司馬遼太郎の『坂の上の雲』ではありませんが、「この坂を登り切れば、キラキラした未来が待っている」という空気だけが先走りしている場面を、農業界でもよく見かけます。
もちろん、頑張ることそのものを否定するつもりはありません。ただ、頑張る方向とエネルギーの注ぎ先を、一度冷静に見直してみる価値はあると思っています。
「じゃあ、どうすればいいか」は、自分で見つけるもの
ここまで、少し残念な現実の話をしてきました。
大事なのは、「ああしなさい、こうしなさい」ということではなく、今この現状をどう捉えるか、その一点だと思っています。今の見方・捉え方次第で、明日からの一歩の踏み出し方は変わってきます。
この続きは、YouTube「農業大学」でも詳しくお話ししています。あわせてご覧いただけると、より立体的に伝わるはずです。
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