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ブログ 2026.07.30
農家は「味」だけで勝負すると疲弊する
「美味しい」だけでは、もう売れない時代
農産物をつくる上で、
多くの生産者が悩むのが「味」の追求です。
でも、ちょっと厳しいことを言います。
「美味しい」の一本勝負では、
もう戦えません。
今日はその理由と、
これから何をすべきかをお話しします。
世の中は「美味しいもの」だらけ
戦後、食べ物がなかった時代なら、
美味しさは大きな武器でした。
でも今は違います。
正直、口に入れて「ウッ」となるような
不味いものなんて、ほとんどないですよね。
つまり、美味しいものが溢れている社会で、
味だけで抜きん出るのは、そもそも無理があるんです。
味の追求に投資し続けても、
それだけでは報われにくい。
まずはこの前提を、
一緒に確認しておきたいと思います。
落とし穴①:「美味しい」の基準は人それぞれ
辛いのが好きな人もいれば、苦手な人もいる。
甘いのが好きな人もいれば、苦手な人もいる。
(僕自身、甘いものはほとんど食べません)
味覚には好みがある以上、
「食べてもらえれば分かるはず」は通用しません。
自分の舌が美味しいと思っても、
相手にとってはそうとは限らない。
これが1つ目の落とし穴です。
落とし穴②:味は調理・シチュエーションで変わる
同じお米でも、炊き方で味は変わります。
誰と食べるか、
どんなおかずと一緒に食べるか、
冷めても美味しいか。
労働で汗をかいた後に食べた
お母さんのおにぎりが格別だったように、
味は、こちらの都合ではなく
「相手の都合」で変わってしまうんです。
つまり農産物そのものの味を磨いても、
食べる状況次第で評価は変わる。
ここまで整理すると、
味だけを追いかける経営が
いかにリスクの高い戦い方かが見えてきます。
差別化のカギは「物語」
ここまでのポイントをまとめます。
・美味しいの基準は人それぞれ
・味は調理・シチュエーションで変わる
だから我々農家がやるべきは、
味だけをひたすら追求することではありません。
物語=情報で、美味しさをつくることです。
「この人がこんな想いで作った」
「こんな綺麗な水で育てた」
そういうストーリーがあるから、
「だから美味しい」と感じてもらえる。
これが今、最も大事なポイントです。

物語をつくる3つの切り口
とはいえ、「物語をつくれ」と言われても、
何を語ればいいのか迷いますよね。
切り口はシンプルに3つです。
①誰が
生産者の人柄、想い、就農までの歴史。
②どうやって
栽培方法へのこだわり、工夫、失敗談。
③どんな環境で
土地、水、気候といった背景。
この3つを言葉にして伝えるだけで、
同じ農産物でも受け取られ方が変わります。
SNSでも、直売所のPOPでも、
パッケージの一言でも構いません。
小さな情報発信の積み重ねが、
「物語」として育っていきます。

物語は特別な出来事でなくていい
「うちには語れるような物語なんてない」
そう思う方も多いかもしれません。
でも実際は、
毎朝の水やりの時間、
台風の後に見回った畑の様子、
親から受け継いだ土づくりの工夫。
そんな日常の一コマで十分です。
大げさな成功談である必要はなく、
「なぜこの作物をつくっているのか」
という理由が伝われば、それが物語になります。
大事なのは、特別な体験を探すことではなく、
すでにある想いや工夫を、
きちんと言葉にして届けることです。
まとめ
美味しいものが溢れている社会で、
味だけで抜きん出るのは無理があります。
だからこそ、味以外の価値=物語を設計する。
美味しいものを作れば作るほど、
味で勝負したいと思えば思うほど、
技術の追求だけでは、いずれ疲弊します。
生産技術・味の技術と同じくらい、
**物語力(ストーリー性)**で戦う。
このスタンスを、
ぜひ今日から意識してみてください。
農テラスでは、こうした
「稼ぐ農家になるための考え方」を
テーマにした発信を続けています。
自分の農産物に、
どんな物語が眠っているか。
一度、棚卸ししてみませんか。