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ブログ 2026.06.23

一本30円が300円に化けた日。元農家が伝える『知ってもらう』の本当の意味

売れるためには、まず知ってもらうことが全てのスタートです。

どんなに美味しい野菜を作っていても、知られていなければ売れません。

これは当たり前のことのように聞こえますが、
農家として本当にそこと向き合えているかどうかは、また別の話です。

農業の世界では長らく「良いものを作れば売れる」という考え方が根強くありました。

確かにそれは間違いではない。
でも今は、良いものを作ることは前提になってしまっている。

その上で「知ってもらえるかどうか」が勝負になっています。

スーパーに並んでいる野菜を見てください。
産地も生産者もわからないものが並んでいる。

消費者はその中から何を選ぶかというと、
値段か、見た目か、せいぜいパッケージです。

そこに「あなたの物語」は入り込めない。

だから今、直販や産直、SNSを使って

自分で知ってもらいにいく農家が増えています。

では、どうやって知ってもらうか。

一番手っ取り早くて、お金もかからない方法がSNSです。

InstagramでもXでも、FacebookでもTikTokでも、
無料でアカウントが作れて、無料で発信できる。

これは本当に革命的なことで、
以前なら広告を打つのにお金がかかった。
チラシを作るのにもお金がかかった。

でも今は、
スマートフォン一台あれば世界中に発信できる環境が整っている。

それでも「SNSは難しい」「何を書けばいいかわからない」という声をよく聞きます。その悩み、今ならAIが解決してくれます。
ChatGPTやGemini、Claudeといった生成AIに

「こういう取り組みをしています。
なぜ、私が農業をやっているのかというと・・・
というように自分の考えをAIに投げかけてください」

するとAIが上手に下書きを作ってくれます。
あとは自分の言葉に直して、
写真を一枚添えて投稿するだけです。

ただ、ここで正直に言わなければならないことがあります。

知ってもらうのは、言葉で言うほど簡単ではありません。

投稿しても、最初はほとんど誰にも見てもらえない。
いいねが0のまま一日が終わる。
そういう日が続きます。

フォロワーが増えるまでに半年かかることも、
一年かかることもある。
そして時には、自分が伝えたかったこととは
違う受け取られ方をして、誤解されてしまうこともある。

それでも続けるしかない。
発信することをやめてしまったら、そこで終わりだからです。

私自身の話をします。

自分の作ったものを売るって、
どこか気が引けるんです。
「どうせ自分が儲けたいだけだろう」と思われているんじゃないかという
感覚がある。

なんか宣伝するとか、告知するって、

押し売りみたいで恥ずかしい、という気持ちもある。

実はそのころの私は完全に「客頭」でした。
買う側の目線しか持っていなかった。
売り込まれることには慣れていたけど
自分が売る側に立つことがどういうことなのか、
全然わかっていなかった。

だから客にされることはあっても、
自分が相手を「客」にすることはできなかった。

これじゃだめだと気づいて、
自分を変えようと決めました。

頭の切り替えです。

作るだけじゃなく、売る人間になる

という切り替え。

ナスを作っていた時期のことです。
代官山で有名なイタリアンレストランをやっているオーナーシェフが、
私のナスに目を止めてくれました。
「これはいいですね。おいくらですか?」と聞かれた瞬間、

頭の中が真っ白になりました。

当時の私は市場流通しか知らなかった。

市場での相場は一本30円。

それが私の「ナスの値段」に対する感覚のすべてでした。

でもその時、何かが弾けた。

清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、
口から出た言葉は

「一本300円です」

でした。

言いながら、やってしまったと思った。
十倍の値段を言ってしまった。怒られるんじゃないか、
笑われるんじゃないか・・・。

ところがシェフの返事は

「え?それでいいんですか?」

でした。

その言葉の意味が、
しばらくしてからじわじわとわかってきました。

シェフにとって、私のナスは300円どころか
もっと高くても買う価値がある、と思われていたんです。

私が勝手に市場相場に縛られていた。

30円という数字が、
自分の中で「これが正しい値段だ」という枷(かせ)になっていた。

ものの価値は、相手が決める。
値段は、買う人によって変わる。

この日に、そのことを体で覚えました。

市場に出荷するということは、
ある意味で「誰に売るかを考えなくていい」ということでもあります。
農協や市場に持っていけば、あとはまとめて売ってもらえる。

楽ではある。

でもその代わり、価格は自分で決められない。

相手の顔も見えない。

直接誰かに届けるということは、

「誰に届けるか」を自分で選べるということです。

そしてその相手によって、同じ野菜でも価値が変わる。

同じナスでも、30円になる場所と300円になる場所がある。

その差を生み出せるのが、知ってもらうという行為です。

だから発信することは、

宣伝ではなく、自分の野菜に合った相手を探す行為だと思っています。

「私はこういうものを作っています」
「私はこういう考えで農業やっています」と声を上げることで、

それを必要としている人、その思いに共感してくれる人に届く。

黙っていたら、出会えない縁がある。

SNSの投稿一本は、
そういう縁を作る仕掛けです。
派手でなくていい。
長くなくていい。
今日の畑の写真と一言で十分です。

ただ、続けること。

続けた先に、
300円を「それでいいんですか?」と
言ってくれる人との出会いがある。

農家が発信することに、
恥ずかしいとか、
売り込みっぽいとかを感じる必要はないと
私は思っています。

あなたが丹精込めて作ったものを、
必要としている人がいる。

実は農家とつながりたいと思っている人たちがたくさんいるのです。

その人に届けるための行動が発信です。
怖くて当然です。
最初は誰でもそうです。
でも、動かなければ何も変わらない。

目立つ勇気を持つことが、売れることの最初の一歩です。

もし発信の仕方や、自分の農産物をどう売り出すかで迷っていることがあれば、農テラスの無料相談を気軽に使ってみてください。

一緒に考えましょう(^^♪

https://youtu.be/CfhuhocJq4c

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