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ブログ 2020.07.15

脳を耕せ!農ビジセミナー「メール講座」第41号

親の呪縛

 

脳を耕せ!農ビジセミナー「メール講座」
いつもご覧いただきありがとうございます。

農業界を明るく照らす
農業パーソナルトレーナーの山下弘幸(やましたひろゆき)です。

 

2020.5.21

さて、今回は 「親の呪縛」についてお話したいと思います
今回は農業を本当によくしたいって思われている方に是非読んでいただきたい内容です。
特に、親の立場にある人、農業普及員、JA担当者、学校の先生、企業の社長さん
そして若手農業者の方にお勧めいたします!

【目次】

・はじめに
◆江戸時代かよ!
◆嫁の立場
◆親の呪縛
◆見えない鎖
◆古いものさし
・おわりに

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【はじめに】

親の呪縛って聞くとなんだかおどろおどろしい感じがしますが
農業問題を突き詰めていくと最終的には「親の問題」にたどり着くと思いっています。

私は平成元年4月に就農しました。今から31年も前ですね(笑)

これまでの30年間
今思えばずーっと親と戦ってきたのかもしれません。
今回は私が経験してきた「親の呪縛」についてお話させていただきます。
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【江戸時代かよ!】
私が幼少時代(昭和50年ごろの話です)
我が家は本家だったのでお盆とお正月は親戚がたくさん我が家に訪れます。
皆、将軍様にひれ伏すかのように私のじいちゃんばーちゃんに貢物をもって参上します。

毎回宴会は親の兄弟が5人祖父の兄弟が7人それぞれ集まりますので30人から50人くらい集まり、
盛大で華やかですが、私の母と姉たちはは台所でお世話、給仕でてんやわんやです。

この宴会では、やがてその家族ごとの自慢話が始まります。
自慢話と言ってもほとんどが農家なのでだれが一番多くスイカを出荷しただの
どこのスイカが一番出来がよかっただの、その程度の話です。
(我が家、私の地域ではスイカ栽培が盛んで当時はかなり儲かっていたようです)

やがて話は子供自慢へと移り、我が家子ども自慢が始まります。
毎年お盆と正月、親戚中にこれまでの自分を評価されるシステム。

ですから、
和にとってお盆とお正月は最悪のイベントでした。

特に私の場合は将来、本家の家督となる立場
他の親戚中の中でも成績優秀でなければなりません。
私の父も私の祖父もそうであったため必然的に

お前は山下家本家の長男だから「頑張らんといかんぞ!」と。

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【嫁の立場】

私は中学のころまでは成績優秀でした。

学校の先生もやがて有名な進学校へすすみ、一般的にいう良い大学、いい会社に入ることが
できる優等生というポジションでした。

しかし、中3になったばかりの春に、母から衝撃的な言葉を言われます。

「お願いだから勉強しないでくれ」

息子が成績が良くて大学にでも行ってしまうとおそらく農業なんて継いでくれなくなる。
だって、いい会社にはいったらそっちがいいって言い始め、こんなきつい農業なんて
やってくれるはずがない・・・

きっと母はそう思ったのでしょう。

ましてや山下家の農家の嫁。山下家の男尊女卑が当たり前の我が家では
嫁は最低の立場。

意見なんていえない雑用みたいな立ち位置だったのです。

その母の切なる願いは
自分が産んだ息子が家業を継いでくれること、家督を継いでくれること。

ただそれだけだったのです。ましてや万が一唯一の男である私が後を継がずに
家を出て行ってしまったら、将軍様、その妻である姑から、なんて言われるか・・・
まして毎年恒例のお盆と正月に親戚からなんていわれるか・・・・
更にはご先祖様に手を合わせれれなくなる・・・・

私が後を継がないなんてことになると
母にとっては針のむしろに立たされる。そんなことは絶対にあってはならない。
そういう思いで先手を打って私に勉強させないようにしたのです

それから私は勉強を一切やめました。

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【親の呪縛】

学校では勉強ができるとちやほやされます。中間テストや期末テスト。

これらは自分の頑張りが目に見える大事な指標です。これがあるから頑張れる。
頑張ってもその評価を誰もしてくれなかった何のために頑張っているのかわかりませんよね。

ところが、
私の場合、頑張って自分順位が上に上がると悲しむ人がいるって・・・
それも母が悲しむ・・・・

なかなか想像できないでしょう。でもこれってノイローゼになるんです。

自分が頑張ろうってしていることを否定されたり、取り上げられると
人は病みます。

今、仕事がなくなりそうな人ってたくさんいますよね。
失業者の増加と自殺者の数は比例するそうなんです。

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【見えない鎖】

今、私は親になってやっと気づくことがあります。

親は子供が苦しんでいるなんて思っていないのです。

困ったことに、親は子供を苦しめているなんてみじんも感じていません。
だって、
どこの親が子供を苦しめようなんて思うもんですか。
すべてこの子に良かれとおもってやっている。

もちろん私の親も私を苦しめようなんて全く思っていませんでしたし、
いまだに私が苦しんでいたことなんて知る由もありません。

いい子であればあるほどその子供は親の犠牲になります。
親が間違っていることに気が付かないままに親の言いなりになって

また「いい子」を続けるのです。

今、農村にはこの「親の呪縛」に苦しんでいる人がかなり多いと思いっています。

時代が急激に変化して、農業のカタチも大きく変わっているのに気が付いている
若手農家は自分の意志で自分の足で新しい農業に取り組もうとしています。

しかし、見えない鎖がそれを許さないのです。

近所の人に相談しても
あなたのお父さんたちは立派だから・・・
あなたのお父さんたちも苦労してあなたを育てたのよ
あなたのお父さんが頑張ったからあなたがこうして・・・

親戚に相談しても
お前がしっかりして○○家を守らないと
お前が頑張って後を継がないと・・・
お前の代でダメにするとご先祖様に顔向けできなくなるぞ

行政に相談しても
お父さんがこれまでしっかりと経営されてこられたんだから
そこはしっかりとお父さんの言うことを聞いて・・・・

JAに相談しても
お父さんがこれまでこの地域のリーダーだったんだから
次は君がこの地域を引っ張っていく番だ!

農業学校では
これからは新しい農業に取り組まねばなりません。
そのためにしっかりと先進農家に学んで地域に根差した農業を・・・・

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【古いものさし】

じゃー何かい?

間違っているのは「俺の方」って言うのか?

いつも私はそう、自問していました。

新しいことに挑戦しようと思っても
親の古いものさし(価値観)でしか測ってもらえない。当然全部否定される

周りに相談してもその

その親の「古いものさし」こそが立派であると・・・

今、農村の若者たちも私そうだったように

きっと 心の奥で  こう叫んでいます!

誰か俺の話を聞いてくれー
誰か、俺の苦しみを聞いてくれー
誰か、俺と一緒に 親を否定してくれー

しかし、
その痛みに耐え抜いた若者はやがて「親」となります。

そして、
若者の親は歳をとり、息子に代を譲ります。

そしてその若者はやっと親からの呪縛から解き放たれ・・

そしてまた

親が築いてきた「我が家伝統」と「家柄」と

その親が持っていた

「古いものさし」を引き継ぎます。

地域の習わしと文化を継承します。

そしてまた、その「呪縛」は

呪縛から解放された親から

「次の世代」に引き継がれていくのです。

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【おわりに】

農村社会はアフリカの部族のように近いところで血縁、縁組が繰り返され
そのコミニュティは守ら得てきました。

全く社会と触れ合わないようにしながら

しかし、最近では外部の血が混ざり、新しいものさし(価値観)がどんどん地域に流入しています。

感性豊かな農村の若者農家は江戸末期のような時代が変わる空気を感じています。

あるものは古い体質と戦い新しい時代をつくれと尊王攘夷派活動をはじめ、
あるものはそれを許しまいと新選組と化す。

そして多くのものは

「古いものさし」しか通じない社会に見切りをつけてその村を出ていくのです。

さらに、

時代が変わろうとも変化を好まないところに嫁いできた

外部の嫁はそのモノを見切り家を出ていく。

今に合わせてようとするものは外にはじかれて、過去を守ろうとするモノが生き残れる社会
この物語はまだまだ続くようです。

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【後述】

最後までご覧いただきありがとうございました。

この話を書いていると最近はやりの「鬼滅の刃」みたいだなーって思いました。
鬼にかまれたらその人もまた鬼になるってやつです。

そのラスボスである鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)ってとにかくやばい奴、
すっげー強い奴を主人公である竈門炭治郎(かまど たんじろう)が倒しに行くのですが・・・

そのくらい農業界の闇ってっでっかい相手のような気がしています。

見えない鎖にきがついていないまま苦悩している
若者がいる一方

鎖を断ち切る「鬼滅の刃」を手に入れるために修行してる若者もいます。

私は、若手農業者にその「刃」を手にしてほしい。そう願っています。

頑張りましょう!

本文、賛否両論あると思いますが、フィクションとノンフィクションが混じっていますので
ご了承下さい(^^)/

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