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ブログ 2020.07.14

脳を耕せ!農ビジセミナー「メール講座」第15号

農業界にイノベーションが起きない理由

 

脳を耕せ!農ビジセミナー「メール講座」
いつもご覧いただきありがとうございます。

農業界を明るく照らす
農業パーソナルトレーナーの山下弘幸(やましたひろゆき)です。

 

2019.11.22

今回は「農業界にイノベーションが起きない理由」について

農業界が抱えている問題が多いのにも関わらず

全く変わらない理由を考えてみました。

そこで私が出した結論は

農業界に潜む見えない「壁」が問題だということ。

先日ある新規農業者のところに行ったときの話ですが、

その方は脱サラして地元に帰り小さな農業を始めました。

しかし、

中山間地では規模拡大が難しいのでなかなか売り上げがありません。

でも彼は、地元の農業をどうにかして盛り上げたい。そんな思いで

農業を始めたのです。

彼は夫婦で実家のある地域に戻ってきたIターン農家。

都会の大学を出てそのまま都会で就職をし、子供が小さいうちに

田舎に帰って仕事を始めようってことで帰ってきたのです。

農業は自分なりに勉強していました。農業で稼ぐにはただ生産するだけではダメ。

お客さんと繋がって、ちゃんと利益を上げる農業をやるって決めて始めました。

そこで

まずは何を作るか?を考えます。

当然、お客さんが求めているものを作らないと農業はやっていけないことも

下調べしていました。

自分の農地は山の中。都会に出荷するには平坦地域に物流コストで負ける。

であるなら、山の中の産地を活かす方法を考えよう!

そう思って考えたのが「農家直営レストラン。」

自分で作った野菜を食べに来てもらえれば、フツーに野菜を作って売るよりも単価は高くなる。

小面積で農業をやるなら大量生産はできないけれど少量多品目高単価ならやっていける!

彼がそう思ったのはこれまでの仕事が飲食業だったってことが影響していました。

料理をするのは得意。そして奥さんもケーキやスイーツづくりには定評がある。

だったら、自社農園で作った食材で料理をふるまえば必ずお客さんは喜んでくれるはず。

早速、近所の大工さんに頼んで、実家に合った古い牛小屋をリフォームして

何とかお客さんが来ても見苦しくないようなお店が完成しました。

隣の畑ではじゃが玉ニンジンを始め、メニューに必要な野菜を多品目栽培し始めました。

すると

SNSでの宣伝効果でお客さんは思いのほか人が集まり始めたのです。

よし、順調だ。

これでリフォーム代を支払っても利益は出そうだ!

土日には県外からの車で来るお客さんが増え始めていた。

これまで、いのししと鹿と猿の方がその農村人口より多いって言われていた地域に

人が集まり始めたのだ。

農村に住んでいる人は自分の村にには何もないからって思っているかもしれませんが、

農村に住んでいない人からすれば何もないってものすごく価値が高いんです。

だから都会暮らしをしていた彼はそれを知っていたんです。

結果、お客さんをたくさん集めることができたんです。

しかし、問題もありました。

車で来るお客さんが多くなると困るのが駐車場です。

そこで彼は自分の家の畑の一部をつぶして駐車場にしようと考えました。

しかし、そこに待ったをかけたのは

地元の農業委員会だったのです。

「農地は耕作にしか使用してはいけません」

田舎あるあるだが、田舎で変わったことをするとかなり目出つ。

彼も、都会から来た若者夫婦が畑にお店を作ってなんかやってるって

近所で噂になっていました。

これまで、農業は田畑を耕し、それを農協や市場に卸して生計を立てるという

スタイルが主流で、加工した、自分の売ったりってできる農家はほとんどいませんでした。

だから、田舎の人には新しいことをしても斬新に写って近寄りがたい人として

遠巻きに見られていたのです。

農業委員会も農地を農業以外の目的に使わないかをチェックするのが仕事です。

だから、このような新規参入者には目を見張らせています。

本来、農業は儲からないから若者は農業から離れていき

今日の担い手不足の代表とまで言われる産業となりました。

儲からなくなった理由は市場飽和による農産物価格の低迷で

農業生産を合理化、効率化しなければ利益が残らなくなったことが背景にあります。

つまり規模拡大によるコスト削減ができなければ生き残れなくなってきたのです。

そうなると零細農家や中山間地で規模拡張ができないところはいずれなくなってしまう。

ですから、本来ならば、彼が行っているようなダイレクト販売型の「スモール農業」も

これからはどんどん推奨していくべきなのです。

しかし、彼のように「稼ぐために経済活動」を優先させてようとすれば

必ず摩擦が生じます。

それが農地の問題です。

本来、

農地は経済活動のために使用されるものではなく、耕作活動にのみ活用されなければ

なりません。

また、日本の農業は国、県、町村などの自治体と大きく癒着しており

その管轄の元で農業を行わなければならない。

そのレールから外れるような農業をやろうとするとあらゆるところが

指導に入ってくる。

この農業界の「見えない壁」が

これまで農村で生活してこなかった

新規農業者や新規農業参入した企業が一番戸惑うところなのです。

彼はただ単にお客様を喜ばせたいだけ、

農地を転用しようとか、悪用しようとか言う気は全くないのです。

このようにお客様ファースト、経済活動ファーストの社会で生きている

一般の方は「一般的な価値観」で農業界に入ってきますが、

農業界には農業界独特の価値観があり、それがかならず衝突します。

その農業界独自の価値観が悪いわけではないし、農業委員会の方や農協職員、農政課の職員などが

悪いわけではありません。その方々は自分の役職を全うしているだけですから。

ただ、

問題なのは、一般社会との価値観と大きくずれていることに

気づいていないことなんです。

つまり、

これが「農業界の見えない壁」なんです。

一方、

新規で農業界に入った若者や企業はこの壁のことを知らないので

最初はかなり戸惑います。

自分がこれまで一般社会で常識と思っていたことが全く通じない世界があることに。

農村に行くと農家のおじちゃんおばちゃんも農政課の人も農協職員も

全て同じ価値観。

更にはその地域で育った若者も全く同じ価値観。

おそらくその若者はその地域以外の社会を知らないのでしょう。

新規農業者や新規農業参入した担当者らは

最初は違和感を感じているものの、

やがてここで農業をする、この地で暮らすということで腹を決め、

その地域の人たちと触れ合うことでいつの間にかこれまでの

農業界の価値観に馴染んでいきます。

まるで「ミイラ取りがミイラ」になるように・・・

せっかく地域に新しい風が吹こうとしているのに、

せっかく田舎に新しい価値観が生まれようとしているのに

せっかく農業界にイノベーターが現れようとしたのに

イノベーションは

「よそのモノ、若者、馬鹿者」が起こします。

がしかし、農村社会はよそ者が苦手で、馬鹿者は農村社会では目立ちすぎて

生きにくい傾向にあります。

ですから、農村社会、農業界をイノベーションできるのは「若者」です。

その若者を「価値観」こそが農村地域を活性化させるのに、

いつの間にか葬られている。

そんな気がしています。

ということで、

これからも、新しい価値観を持った若手農業者のために

元気が出るメッセージを発信し続けていきたいと思います!

今回は「農業界にイノベーションが起きない理由」について

お届け致しました。

いかがでしたでしょうか。皆さん、反論、異論、共感など

色々とご意見があるかと思います。

是非、

皆さんのご意見を聞かせ下さい。

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