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コラム 2020.04.09
農業コラム 人をつくる農家
熊本日日新聞 夕刊 「一筆」4月3日付
私が「農業をやっています」と言うと、「何を作っているんですか」と聞かれます。
「人をつくっています」と答えると、皆さん、ぎょっとされます。正確には
「農業経営者という人をつくる」のが私の仕事です。
農業には、現場で作業する人だけでなく、経営や管理監督に当たる人が必要です。
私は1989(平成元)年に親元就農し、益城町の実家でスイカ栽培の担い手になりました。
その後、地元の農業参入企業に就職し、農業法人の社長を任されてからは
現場に出て作業することは少なくなりました。種まきも収穫も従業員に任せ、
それを管理監督する役割になったのです。
現在、私は「農業参入コンサルタント」という仕事をしています。
農業を始めたい人や企業などをサポートする業務です。
具体的には生産、販売、売り上げ、経費、作業員などを管理監督する
ノウハウをアドバイスしています。
2009年、農業の担い手確保を目的に農地法が大きく改正され、
だれもが農業を始めやすくなりました。農水省の統計によると、
これまでに全国で3000社以上の企業が農業に参入し、雇用を含む新規就農者も
年間5万人程度いるようです。
しかし、担い手不足の一番の問題は、自ら稼ぐことができる経営者の不足だと私は考えます。
農作業だけでなく、自ら販売ができて、収支を合わせ、利益を出せる経営者を育成しなければ
農業は衰退の一途をたどります。私の仕事は全国でも珍しい内容ですが、
少しでも日本農業の発展に貢献したいと思っています。