新着情報

What’s new

ブログ 2026.09.12

JA共販離脱、独立販売農家に潜む問題

この話、あまりしてこなかった

農業コンサルとして600件以上の相談を受けてきた中で、実はずっと避けてきたテーマがあります。

「農協、辞めるべきですか?」

この質問、本当によく聞かれるんです。でも私は農協派でもアンチ農協派でもありません。ただ、自分自身が30歳のときに農協を離れた経験があるので、その体験から見えてきたことをお話ししてみようと思います。

農協という仕組みの原点

農協(農業協同組合)は、戦後の食糧難の時代に生まれた仕組みです。

小さな農家が一つひとつバラバラに勝負すると、どうしても弱い。だったら束になって、同じ資材を同じ価格で買い、同じ基準で選別し、同じブランドで出荷しよう。これが「相互扶助」の精神です。

大きい農家も小さい農家も、同じ手数料、同じ値段で扱われる。これは今も変わらない農協の骨格です。

委託していたのは、実は5つのこと

自分で販売するようになって初めて気づいたのですが、それまで農協にお願いしていた業務を並べてみると、思った以上にたくさんありました。

資材購入、配送、代金回収、選別・箱詰め、そして情報収集。

この5つを、農協は当たり前のようにまとめて引き受けてくれていたんですね。

自分でやるようになると、これらすべてに交渉の余地が生まれます。資材は相見積もりで安くできるし、配送も定期便契約で単価を下げられる。選別もオリジナルの基準で差別化できる。

ただ、その裏側には必ず「自分でやらなきゃいけない」という負担がセットでついてきます。メリットとデメリットは、常に表裏一体でした。

一番怖かったのは、代金回収でした

いろいろな不安がある中で、私が一番堪えたのは「代金回収」でした。

農協はある意味、法律で守られている仕組みです。市場出荷であれば1週間以内に必ず決済されるルールがある。ところが個人で相対取引をするとなると、それはもうビジネスの信用取引の世界です。

大企業なら取引先の支払い能力を与信管理という形で調べられますが、個人ではそこまで手が回らない。「もし振り込まれなかったらどうするんだ」と、当時よく言われました。この与信管理の重さは、実際にやってみて初めて実感が持てるものだったなと感じています。

地域の中で、少し浮いた感覚

私の実家は父も親戚も、地域全体が農協に依存する土地でした。父はむしろ農協の幹部までやったような人です。

そんな中で私が農協を離れると決めたとき、周囲の反応は決して歓迎ムードではありませんでした。「山下んとこの息子、勝手なことをやっているらしい」。妻も同じように言われ、家族ごと少しアウェイな空気になっていったのを覚えています。

自分一人が浮くだけなら耐えられても、家族まで巻き込むことになると、悩みは深くなります。実際、離脱した後にも「やっぱりもう一度、農協に戻してもらえないか」と頭をよぎったこともありました。

辞める辞めないより、覚悟の話だった

いろいろ振り返ってみて、たどり着いた結論はシンプルでした。

農協を活用する理由があるかないか。それだけの話です。

委託していた業務をデメリットと感じて、自分でやると決めたなら、それはもうやめる方向に進んで良いのだと思います。逆に、手数料を取られるのが嫌だ、自由が利かないという理由だけで飛び出すと、自分でやらなければいけない負担の方が重くのしかかってくることもあります。

委託していた業務を洗い出し、自分でやりたいかを考え、リスクを引き受けられるか、家族や地域への影響まで想像できているか。ここまで考えた上での判断が、いわゆる「覚悟」なのだと今なら言えます。

おわりに

私は結局、紆余曲折を経て自分の販売ルートを作り、会社を立ち上げるところまでたどり着きました。今こうして振り返ると、あの時の悩みも含めて、必要な回り道だったなと感じています。

農協との付き合い方に、正解は一つではありません。ただ、自分がこれをメリットと思うかデメリットと思うか、そこを自分自身で決める覚悟だけは、誰にも代われないものだと思います。

同じように独立や経営の判断で悩んでいる方は、農ビジ会や無料相談でも個別にお話ししていますので、よければ覗いてみてください。

農業界を明るく照らす農テラス
今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう!

CONTACT US

お問い合わせ

只今、無料経営相談を承っております。
お気軽にご相談ください。