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ブログ 2026.09.04
農家減少時代の真相
生き残る農家と消える農家を分ける3つの条件
脳を耕す農業経営戦略家の山下弘幸です。
私が就農したのは1989年、今から37年前です。
あの頃、日本の農家は600万人いました。今は150万人ほど。実際に農業を職業として続けている「販売農家」となると110万人、認定農業者に絞れば24〜25万人しかいません。
30年ほどで、単純計算で3分の1近くまで減った計算になります。
「農家が減れば、残った人が儲かる」
こんな話をよく耳にします。需要はそのままなのに作り手だけが減れば、残った人に注文が集中する。理屈としては分かります。ただ、コンサルとして現場を見続けてきた中で、これが必ずしも成り立たないケースがあることに気づきました。
い草農家に見えてきたこと
熊本県には「い草」という特産品があります。畳の表に使われる、あの草です。
40年ほど前、い草農家はものすごく儲かっていました。ところが平成に入り、安価な中国産のい草が入ってきたことで価格が大暴落。結果的に、い草農家は1/10ほどまで減りました。
ここで気になるのが、生き残ったい草農家が今ウハウハなのかということです。
答えは、そうではありませんでした。理由はシンプルで、農家が減ったのと同時に、需要そのものも減っていたからです。畳の部屋自体が、今はもうほとんどありません。フローリングが当たり前になり、仮に畳を選んでも輸入品や加工品が主流です。
供給が減っても、需要が一緒に減ってしまえば、残った人が総取りできるわけではない。この構造に気づいたのは、い草農家の変化を見てからでした。

需要と供給、両方がセットで初めて成立する
米の相場でも同じことが起きています。令和の米騒動は、需要700万トンに対して供給が670万トンほどに落ち込んだことで一気に値が跳ね上がりました。逆に供給が戻れば、価格も落ち着いていきます。
抹茶も分かりやすい例です。手間がかかるため作り手は限られていますが、海外からの需要が伸び続けているため、単価は上がり続けています。
農家が減ることと、儲かることは、イコールではありません。「需要が保たれているか、あるいは伸びているか」とセットで初めて、供給が減る意味が出てくる。ここが今回、現場を回りながら整理できたポイントです。
生き残る農家に共通する3つの条件
い草と抹茶、両方を見比べる中で、生き残る側に回るための条件が3つ見えてきました。
① 需要が5年後、10年後も続くか 今その作物や仕事が求められていても、10年後はどうか。ここを一度立ち止まって考える価値があります。
② 簡単に参入されないか 企業の農業参入も少しずつ増えてきています。誰でも真似できる作り方であれば、参入障壁は低いままです。
③ 簡単に真似されないか 技術や関係性、土地の条件など、他の人が簡単には再現できない要素があるかどうか。
農業以外にも似た現象が起きています。宮大工は40万人から16万人まで減りましたが、注文自体は変わらず、年収が1500万〜2000万円まで上がったという話があります。理学療法士も高齢化で需要が増える一方、供給できる人材が追いつかず、年収1000万円クラスが出てきています。井戸掘りの専門業者では、通常100万円の仕事が、依頼が殺到しすぎて500万円でも受けてもらえない状態になったという話も聞きました。
需要があるのに供給する人が減ると、残った人に依頼が集中する。この構図が、今の農業にも当てはまり始めています。

もち米、麦にも同じ流れが
先日、あるお米農家さんから聞いた話です。もち米は1俵3万5千円ほどだったのが、少し供給が減っただけで5万円近くまで上がったそうです。麦を作っている方の中には、ウイスキー会社と直接つながり、値段がどんどん上がっているケースもあるとのことでした。
真偽までは確認していませんが、需要があるところに供給が追いつかなくなると、価格が動く。この流れ自体は、い草や抹茶と同じものだと感じています。
自分の作物に当てはめてみると
ただ農家の数が減るのを待っているだけでは、総取りにはなりません。需要が続くか、参入されにくいか、真似されにくいか。この3つが揃って初めて、「残った人に依頼が集中する」という状態が生まれます。
逆にどれか1つでも欠けていれば、い草農家のように、供給は減ったのに恩恵は受けられない、ということも起こり得ます。
自分が今取り組んでいる作物や仕事は、この3つの条件にどれだけ当てはまるだろうか。一度、書き出してみると、次に打つべき手が見えてくるかもしれません。
こうした農業経営の考え方は、YouTube「農業大学」でも定期的にお話ししています。また、農テラスでは無料相談も行っていますので、ご自身の経営を一緒に整理したい方はお気軽にご相談ください。農業経営者同士で学び合う「農ビジ会」もあります。
農業界を明るく照らす農テラス
今日も一緒にこちらの脳を耕しましょう!