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ブログ 2026.08.04

農業法人1.5億円企業が明かす資金繰り手法

こんにちは。農業経営戦略家の山下弘幸です。

経費3ヶ月分プールせよ

農作業は、体がしんどい。 腰も痛いし、膝も痛い。

でも、それよりしんどいものがある。

お金がなくなること。

これが、経営で一番きついことです。

農家の仕事、いや社長の仕事は、 土と向き合うだけでは終わりません。 毎月、お金と向き合う仕事でもあるのです。


「金の計算をしなくていい農業」という夢

正直に告白します。

僕はかつて、妻と一緒に農業をやっていました。 妻は毎日、楽しそうでした。 自分で植えた野菜を収穫し、出荷し、「美味しい」と言ってもらえる。 高く売れれば嬉しい。そりゃ楽しいでしょう。

でも僕は、楽しめませんでした。

頭の中はいつも、こうです。

「今月、資金は足りるか」 「月末の支払い、間に合うか」

野菜を見ても、お金の計算しか浮かばない。

そこで僕は、ある夢を持ちました。

お金の計算をしなくていい農業がしたい。

自分で経営するのではなく、 どこかの農業法人に雇われて、 言われた作業だけをして、給料だけもらう。

そんな夢のような働き方があるはずだと。

37歳のとき、僕はベンチャー企業と一緒に法人を退職し、 念願の「雇われ農家」になりました。

夢、叶ったはずでした。


気づけば、また社長になっていた

ところが人間、勝手なものです。

雇われの身になったのに、 現場のあれこれが目についてしまう。

「ここ、こうした方がいいんじゃないですか」 「これ、こう変えた方が伸びますよ」

新人のくせに口を挟む僕に、 最初は「うるさいな」という空気もありました。

でも、言っていることは的を射ていた。

「じゃあ、お前がやってみろ」

そう言われてから、あれよあれよという間に、 その農業事業を任されることになり、 結局また、社長になっていました。

売上1.5億円の農業法人。 その資金繰りを、ずっと僕が回すことになったのです。


入ってくる100、出ていく101で会社は詰む

社長になってわかったこと。

売上はどんどん伸びていきます。 それでも、資金繰りは別問題です。

入ってくるお金が100で、出ていくお金が99なら、なんとかなる。

でも、入ってくるお金が100で、出ていくお金が101だったら―― 足りません。

これが「資金ショート」です。

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そしてこの資金ショートは、 「儲かっていない」から起きるとは限りません。

タイミングのズレだけで起きるのです。

たとえば、明日100万円入ってくるとします。 でも今日、99万円払わなければいけない。

本来、お金は足りているはずです。 明日には入ってくるのだから。

それでも今日、手元に現金がなければ、 支払いはできません。

これが資金ショートの正体です。

もし逆に、今日100万円が入ってきて、 明日99万円を払うのであれば、何の問題もない。

常に1万円が手元に残っていく。

これが「キャッシュフローを回す」ということです。

資金繰りを守る、3つの鉄則

売上1.5億円の農業法人を経営していた頃、 僕が徹底していたことが3つあります。

① 経費の2〜3ヶ月分を、常にプールしておく

理想を言えば、6ヶ月分。

僕の会社では月におよそ1000万円の経費が出ていく計算だったので、 社内に常に3000万円をプールしておくようにしていました。

理想を言えば6000万円ですが、なかなかそこまでは難しい。

それでも3000万円あれば、何かが滞ったときにも耐えられますし、 さらに言えば、その3000万円には手をつけずに、 金融機関から短期のつなぎ融資を引き出す、という選択肢も生まれます。

「内部留保には手をつけない」という選択ができること自体が、 経営の余裕になるのです。

② 固定費を、徹底的に抑える

種苗代や肥料代のような「変動費」は、 作付面積が広がれば増えるのが当然です。

問題は「固定費」。

事務所の電気代、水道代、車の支払い、そして人件費。 これらは、面積が広がろうが縮もうが、必ず出ていきます。

この固定費こそが、経営をじわじわと圧迫していきます。 だからこそ、ここは徹底的に絞り込む。

③ 回収は早く、支払いは遅く

これは、ある建設会社の社長から教わった言葉です。

「山下さん、代金回収はきっちりやりなさい。 支払いは、相手から3回請求されるまで待ってもいいくらいの気持ちでいなさい」

正直、最初は驚きました。

でも、その社長はこう続けました。

「それくらいの気持ちでいないと、 農家はいい人が多いから、支払いばかり一生懸命になって、 回収を甘く見てしまう」

「来月でいいですよ」「再来月で大丈夫です」

そうやって回収を後回しにしているうちに、 資金繰りは確実に詰みます。

回収はがめつく、支払いは遅く。

これが、生き残る経営者の鉄則です。


お金と向き合うのが、社長の仕事

正直、面倒です。

僕自身、本当は「金の計算をしなくていい農業」がしたかった人間です。

でも結局、その夢は叶わず、 気づけば社長として、誰よりもお金と向き合う日々を送っていました。

面倒でも、向き合う。

キャッシュフローを真摯に考える。

これができるかどうかで、 「稼ぐ農業経営」になれるかどうかが決まります。

一に資金繰り、二に資金繰り。

今日からできることは、たった1つです。

まず、自分の会社の毎月の支出を、正確に把握すること。

そこからしか、資金繰りは始まりません。

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