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コラム 2020.05.02
【農業コラム】 師匠から学んだこと
現在私が執筆させていただいております
熊本日日新聞 夕刊 「一筆」に連載中のコラムをお届けします 5月1日付
「師匠から学んだこと」
若いころはよく、おやじに怒鳴られました。
わが家は家族経営の農家だったので、父が社長であり師匠でもあります。
作業の段取りが悪いと、突然後ろから怒鳴り散らす。
そんな父に、当時の私はいつも反感を抱いていました
。仕事が遅いくらいで怒鳴らなくてもいいじゃないかと。
農業は時間との闘いである。
日が昇っているうちに作業を終わらせる。決して夜なべ(残業)はしない―。
これがわが家のモットーでした。農家は仕事に追われ始めると経営が悪化します。
管理が行き届かなくなって収量や品質が落ちたりするからです。
怒鳴られていたおかげで、私は仕事がかなり速くなりました。
仕事が速くなると余裕ができ、余裕ができると次の事を考えることができます。
結果、安定した農業経営ができるようになりました。
コンサルタントの現場で、仕事に追われる農家の特徴は二つあると気付きました。
一つは段取りが悪いこと。朝からトラクター作業をやろうと思ったらエンジンがかからない。
整備不良が原因です。もう一つは計画性がないこと。
雨が降るとできない作業は、無理にでも降り出す前に終わらせる。
そうしないと作業がどんどん遅れてしまいます。
「段取り7割、道具2割、残り1割は対応力」。
私が師匠(父)に学んだことです。
怒鳴っていたおやじも今年で80歳ですが、相変わらず今日も1日の計画を立てています。
庭木の剪定(せんてい)を2本やるようです。
そして明日の段取りも来週の計画も既に決めています。
段取りがいい人は長生きできるのかもしれません。