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コラム 2020.04.13
農業コラム 熊本地震と益城スイカ
現在私が執筆させていただいております
熊本日日新聞 夕刊 「一筆」に連載中のコラムをお届けします 4月10日付
益城町ではこれからスイカの出荷が最盛期を迎えます。私も就農したころはスイカを作っていました。
しかし4年前のこの時期、町の姿は一変しました。建物や住宅の9割に、全壊の赤紙と半壊の黄紙が貼られた熊本地震です。
突然、床から突き上げられたあの衝撃は今でも忘れられません。家族とともに倒れたたんすや家具に埋もれ、
一瞬「死」が頭をよぎりました。水と電気が突然止まり、避難所での車上生活が1カ月近く続きました。
もちろん仕事にも影響し、畑の潅水施設が壊れたため野菜の作付けとコメ作りを断念。
その年から農業コンサルタント業に専念することにしました。
この4年間で、益城の町並みは大きく変わりました。まだ仮設住宅での暮らしを余儀なくされている方もありますが、
ランドマークだった総合体育館が新設されるなど建物は新しく変わり、県道熊本高森線の4車線化整備も進んでいます。
被災した町を元に戻すだけでなく、震災を機に発展させようとする活気を感じることができます。
人々はあの時の不便な避難生活を通じて、普通の暮らしがどれだけ素晴らしいかに気づきました。
も普通じゃない暮らしを体験して、初めて気がつかされた一人です。
水道も電気も寝るところも、当たり前じゃないってことを。
今では益城台地も潅水設備が復旧し、新鮮な野菜や果物の生産が再開されています。
厳しい環境でも自然とともに生きる農家のたくましさを感じます。そして今年もまた、
甘くておいしい益城スイカの季節がやってきました。